コルトン・シャルルマーニュとは?基礎知識と味わいの特徴、合わせる料理

【最終更新日】2022年12月31日

コルトン・シャルルマーニュ(仏:Corton-Charlemagne)は、フランスはブルゴーニュ(仏:Bourgogne)地方コート・ドール(仏:Cote d’Or)の南側、コート・ド・ボーヌ(仏:Cote de Beaune)地区にある特級畑グラン・クリュ(仏:Grand Cru)の名称であり,この畑で栽培されたシャルドネ(仏:Chardonnay)から造られる白ワインの名称です。

フランス二大銘醸地の一つとして名高いブルゴーニュ地方では,ワインを畑ごとに格付けしています。

その中で最も上級なもの,特に品質の高いブドウを生み出す畑は「特級畑」と格付けされます。コルトン・シャルルマーニュはそのうちの一つです。

 

この特級畑は、ラドワ・セリニー村(仏:Ladoix-Serrigny)、アロース・コルトン村(仏:Aloxe-Corton)、ペルナン・ヴェルジュレス村(仏:Pernand-Vergelesses)という3つの村にまたがっています。

また、この地で栽培した黒ブドウ品種「ピノ・ノワール(仏:Pinot Noir)」から造ったワインは特級格「コルトン(仏:Corton)」となることなどから、名前や区画の面で混同しやすく、少々理解しづらいアペラシオンでもあります。

 

コート・ド・ボーヌ地域で白の特級畑はモンラッシェ(仏:Montrachet)・ファミリーとコルトン・シャルルマーニュのみであり、ブルゴーニュ地方を代表する偉大な白ワインを生み出す産地として知られています。

しっかりとした骨格で、上品に広がる甘味に、完璧と言って差し支えない酸とミネラルのバランスを持ち、全ブルゴーニュの白ワインの中でも独特な存在感を放っており、偉大なワインの一つに数えられています。

 

歴史上の大人物、神聖ローマ帝国の初代皇帝、カール大帝(シャルルマーニュ大帝)にちなんで名付けられたことでも有名です。

 

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コルトンシャルルマーニュの基礎知識

「コルトンの丘」と3つ村

コルトン・シャルルマーニュの畑は、「コルトンの丘」と呼ばれる丘陵の上にあります。

この丘は、ラドワ・セリニー村(仏:Ladoix-Serrigny)、アロース・コルトン村(仏:Aloxe-Corton)、ペルナン・ヴェルジュレス村(仏:Pernand-Vergelesses)にまたがっており、コルトン・シャルルマーニュを理解するには、この3村を理解することが必要です。

 

ラドワ・セリニー


最も北に位置するラドワ・セリニー村は、コート・ド・ニュイ(仏:Cote de Nuits)地区と接しており、コート・ド・ボーヌ(仏:Cote de Beaune)地区の銘醸地としては最北の村でもあります。

コート・ド・ニュイ側から丘の中腹にかけてはピノ・ノワールが栽培されています。

 

丘の手前はニュイ・サン・ジョルジュ(仏:Nuits-Saint-Georges)と地続きで土壌が似ており、土っぽく野性的な赤ワインが、丘の北部の北東向きの斜面では、果実味豊かで且つミネラリーな赤ワインが、それぞれ生産されています。

丘陵の最上部は白っぽい石灰質土壌が広がり、ここにシャルドネが植えられています。

コルトンの丘の1/3はラドワ・セリニー村に位置します。

 

アロース・コルトン


この村の南に接するアロース・コルトン村のブドウ畑は、斜面が南東から南を向いていて、丘の中では最も日照量に恵まれています。

斜面上部にシャルドネ、その下にピノ・ノワールの栽培地が広がっています。この丘独特の光景ですが、白と赤の特級畑が並び立つ様はやはり壮観です。

ボディの厚い、リッチなワインが生まれます。

 

ぺルナン・ヴェルジュレス


ペルナン・ヴェルジュレス村のコルトン・シャルルマーニュは、畑の斜面が北西向きで、また標高は約335mと一番高くに位置しています。

石灰質の土壌はもちろん、アロース・コルトンに比べ日照量が少ないこと、標高の高さなどから、ミネラルが強く、厳しさを讃えたワインが生まれます。

また、カール(シャルルマーニュ)大帝が所有していた区画を含む「アン・シャルルマーニュ(仏:EnCharlemagne)」はこの村にあります。

 

コルトン・シャルルマーニュ グランクリュ

コルトン・シャルルマーニュは、前述した3つの村にまたがる特級畑の名称であり、そこで育てられたシャルドネから造られる白ワインの名称です。

ブルゴーニュ地方では、ワインを畑ごとに格付けしており、その中で最も上位のもの畑を「特級畑」と呼びます。

コルトン・シャルルマーニュは、そんな「特級畑」で造られるワインの一つです。

 

同アペラシオンは、赤ワインの銘醸地に囲まれて位置しています。

また、この区画で造れた赤ワインも特級格「コルトン」を名乗ることができることから、コルトン・シャルルマーニュ自体も黒ブドウ栽培に適しているといえます。

 

畑は、3村にまたがる「コルトンの丘」の上に広がり、同じコルトン・シャルルマーニュでもそれぞれ条件の違う区画によって個性あるワインが生み出されています。

栽培地域は丘陵の上から広がっているという性質上、その村、区画によって条件が異なります。

標高約260〜340m、斜面の向きは南東から北西まで場所によります。土壌は母岩が石灰岩、表土は石灰質や泥灰質で、区画によって鉄や小石の含有比率は異なります。

 

コルトンとコルトン・シャルルマーニュ

コルトンとコルトン・シャルルマーニュの区画で栽培されたピノ・ノワールから造られる赤ワインは特級ワイン「コルトン」を名乗ることができます。

このことから、コルトン・シャルルマーニュの土壌はシャルドネだけでなく、ピノ・ノワールにとっても非常に相性の良いものであることが分かります。

 

逆に、同じく特級畑「コルトン」で栽培されたシャルドネで造ったワインが「コルトン・シャルルマーニュ」を名乗ることはできず、この場合「コルトン・ブラン」を名乗ることになります。

 

ワインの特徴

「コルトン・シャルルマーニュ」といえば,シャルドネから造られる白ワインを指します。

このワインを語る上でのキーワードは「ミネラル」「酸」です。

鉱物を思わせるほどのミネラルと硬く引き締まった酸が混然一体となりハーモニーを奏でます。

「くっきりとした輪郭」「端正な骨格」といった表現がよく見られるのもこの特徴ゆえでしょう。

 

ブルゴーニュ・白ワインの中でもモンラッシェと双璧を成し、その偉大さは文句なしに白ワイン世界最高峰の一角、それがコルトン・シャルルマーニュです。

 

外観・香り・味わい

外観は、淡い黄金色、クリスタルの透明感と輝きは十分な酸を感じさせます。

涙やディスクは充実しています。液体でありながら宝石のような美しさを感じさせる外観は、飲み手の期待感をこれでもかと高めます。

 

香りは華やかに広がりますが、成熟感というよりは清涼感が際立ち、繊細です。

若いうちはレモンやグレープフルーツのような柑橘に、火打石や貝殻、石灰などのミネラル、白胡椒などのスパイスが香ります。

適切な熟成を経たものは、ライムやライムの花、白や黄色の桃、アプリコットやサンザシ、ヘーゼルナッツ、ものによっては生姜なども感じられるでしょう。

多様にして魅惑的なアロマはしかし派手ではなく、繊細に広がり飲み手を魅了します。

 

味わいは,鋭さと豊潤さを併せ持っています。第一印象(アタック)は中程度から力強いまで様々ですが、平均的にはやや強い程度です。

際立ったミネラル、鋭角に感じる酸が全体像にくっきりとした輪郭を与え、飲み手にある種の厳しさや緊張感を感じさせます。

その感覚は飲み込んだ後も余韻となって長く鼻腔と口中に残ります。

 

同じ偉大な白ワインでもモンラッシェ・ファミリーやムルソーのような芳醇で馥郁(ふくいく)とした香り、豊満でゴージャスな味わいとは一線を画す、別の極致に立ったワインと言えるでしょう。

 

主な生産者

コルトン・シャルルマーニュの代表的な生産者を以下に挙げます。

 

ドメーヌ・ジャン・フランソワ・コシュ・デュリ/Domaine Jean Fransois Coche Dury

本拠地はムルソーで、白の造り手としてブルゴーニュ最高峰の一人に数えられます。

コシュ・デュリのコルトン・シャルルマーニュといえば、DRCのモンラッシェと並び称され、圧倒的な存在感と魅力を持つワインです。

その人気ゆえ、希少性に拍車が掛かり、最近ではなかなか見つけることができなくなってしまいました。

完璧ともいえるバランスに、長い長い余韻が特徴とされます。

 

ドメーヌ・ボノー・デュ・マルトレ/Domaine Bonneau du Martray

ペルナン・ヴェルジュレス村に本拠地を置く偉大な生産者。リュー・ディ「アン・シャルルマーニュ」内に、分割することなく1つの区画で11haもの面積を所有しています。

そのうち、コルトン・シャルルマーニュは9.5ha、コルトンは1.5ha。凛とした透明感、全体に一本の緊張感を通しながらもバランスは損なわせない酸、長い余韻が特徴です。

 

ルイ・ラトゥール/Louis Latour

1797年設立、ドメーヌ部門のドメーヌ・ルイ・ラトゥール、ネゴシアン部門のメゾン・ルイ・ラトゥールを運営しています。

全47ha所有中、コルトン・シャルルマーニュは9.6ha所有しているコルトン・シャルルマーニュから、パワフルでリッチな白ワインを生み出します。

また、複数のリュー・ディをブレンドして作る赤ワインの「コルトン」にも力を入れています。

 

ドメーヌ・トロ・ボー/Domaine Tollot-Beaut

1880年設立。コルトン・シャルルマーニュ、コルトン共に秀逸で、こちら以外では1級格でも魅力的なワインを多数生み出している優良ドメーヌです。

コルトンは新樽比率50%、若いうちは気難しい場合が多いですが、5年ほど過ぎた辺りからそのポテンシャルを発揮し始めます。

 

ドメーヌ・ラペ・ペール・エ・フィス/Domaine Rapet Pere et Fils

1765年設立の歴史を持つ、ペルナン・ヴェルジュレス村が本拠地の家族経営型ドメーヌで、この生産者のコルトン・シャルルマーニュは洗練された酒質が魅力です。アン・シャルルマーニュからはエレガンスが魅力の赤も造っています。

 

飲み方とマリアージュ

コルトンシャルルマーニュはムルソー、モンラッシェと並ぶブルゴーニュはもちろん世界に誇る名酒中の名酒です。

そのためできればレストランなどのワインに集中ができる場所でお飲みいただくのがよろしいでしょう。

 

温度は白ワインとしては高めの10~12度程度で、白ワイングラスであってもふくらみの部分が大きめの方が豊潤な香りを楽しめます。

なかなか飲めるワインではありませんので、おひとりで飲みになってもいいですが、貴重なワインを共有できるご友人などとお飲みいただいてもいいでしょう。

 

熟成の進んだコルトンシャルルマーニュはヘーゼルナッツの香りや潮の風味さえ感じさせるミネラルの印象が特徴的です。

そのため厚めに切った白身のお魚にトリュフ風味のバターソースをかけたお料理や、あるいはオマールエビのノワゼットバターソースも最高です。

アワビのステーキや伊勢エビなど、絢爛豪華な海の幸を、腕のいいシェフが仕上げるお料理とは一生の思い出に残るようなマリージュになるはずです。

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