メルローの基礎知識|ブドウの特徴と代表的な産地とワイン

【最終更新日】2023年2月16日

メルロー(Merlot)は世界でも最も有名な黒ブドウの一品種で、フランスのボルドー地方原産とされています。

最初に言及されたのは1784年でした。

メルローという名前はこのブドウと色が似ているという事で、黒い鳥のフランス語である”Merle”が由来とされています。

 

早熟で、ブドウが育てにくいとされている、高温多湿な気候下でも生育しやい素地があります。

現在ではワイン産業のある国ではほぼと言っていいほど世界中で栽培されています。

ワインとしては単一品種でも、ブレンド用でも広く使われています。

 

メルローの基礎知識

ぶどうの特徴

Par Felloni claire — Travail personnel, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=88541696

一般的にメルローは色調は濃いルビーレッドからややガーネットに近く、チェリーやプラム、チョコレート、ヴァニラ、中にはハーブの香りもあります。

酸味、タンニン共に主張し過ぎない程良さで、しっかりとした味わいながらソフトな印象です。

非常にバランスのとれたワインになりやすい為、以前はブレンド用のブドウという認識が強くありましたが、近年では収穫を遅くしてブドウと土壌の個性を際立たせた、単一品種のワインも増えてきています。

 

主な産地

フランス

栽培面積は赤、白ブドウ合わせても一番広く、有名なボルドーだけでなく、南西地方、ラングドック、ルーション地方でも栽培されています。

ボルドー以外ではテーブルワインのブレンド用として使われる事が多いですが、ボルドーではブドウ栽培面積の半分強を占めており、当然格付けされたワインにも骨格と柔らかさを加える為にブレンドされています。

ボルドーブレンドと言えば、カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローのブレンドで、全域で多かれ少なかれブレンドされていますが、特にサンテミリオン地区ではメルローの比率が高く、ほぼ単一品種のワインと言って良い程のワインもあります。

 

イタリア

中部から北部の比較的冷涼な地域での生産が多いです。

温暖化の影響もあり、最近ではこの地域でも熟しすぎて栽培が難しくなっていますが、スーパートスカーナと呼ばれる、ボルドーブレンドを生産しているトスカーナ州や、ヴェネト州、トレンティーノ・アルト・アディジェ州、ウンブリア州でのブレンドが多く見られます。

カベルネ・ソーヴィニヨンのタンニンを和らげるのと同様に、イタリアで広く栽培されているサンジョヴェーゼの酸味を和らげる目的が多いです。

フランスから輸入した接木を使ったメルローはボルドーと遜色ない品質のものもあり、メルローとは思えない程糖度が高く、酸味もあるブドウも生産されています。

 

スペイン

暖かい大陸性気候が多いスペインでは生産量は少ないですが、国際品種であるメルローはブレンド用として生産されています。

フランスとの国境に近いリオハを始め、アラゴン州、ナヴァーラ州、カタルーニャ州、中央部のカスティーリャ・ラ・マンチャ州でテンプラニーリョ種や他土着品種とのブレンドワインが多く見られ、こちらも豊かなタンニンや酸味を和らげる役目を果たしています。

 

他ヨーロッパ

その他西欧各国での生産もありますが、東欧各国での存在が目立ちます。

モルドヴァ、ルーマニアといった歴史あるワイン生産国を始め、ブルガリア、クロアチアでも栽培されており、この地域ではカベルネ・ソーヴィニヨンに近い、フルボディのワインが生産されています。

どの地域でも個性の強い土着品種の黒ブドウとブレンドされ、輸出用として生産されている事も多いです。

 

アメリカ

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カリフォルニア州、ワシントン州で多く栽培されています。

カリフォルニア州では多種多様な土壌が入り組んだ地域である為、フルーティーで飲みやすいワインから、木樽で熟成した複雑味のあるワインまで様々です。

ワシントン州ではより冷涼な地域なので色調が濃く、酸のバランスの取れたワインが多く生産されています。数多くあるカリフォルニア州のメルローの特徴の中間地点、という印象です。

 

南米

チリでは1990年代前半までカルメネールをメルローとして栽培していた経緯があります。

これは19世紀後半前後の世界のワインはブドウ品種の概念が薄く、産地名での認識であった為、単純にボルドーから植栽した品種なのでメルローと呼んでいた、という説があります。

現在では3番目に多く栽培されており、生産量1位のカベルネ・ソーヴィニヨンとのブレンドが多く見られます。

 

南米ではウルグアイ、アルゼンチンでも量は多くありませんが栽培されており、ウルグアイではタナ、アルゼンチンではマルベックとブレンドしてワインに柔らかさを与えています。

 

日本


高温多湿の日本でも長野県を筆頭に、山梨県北海道岩手県、兵庫県等、各地で栽培されています。

長野県の塩尻市や桔梗ヶ原では高品質のメルローを生産しており、土壌の香りやしっかりとした果実味があり、煮物のような和食にも相性が非常に良いです。

 

著名なワイン

シャトー・ペトリュス(Chateau Petrus)

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ボルドーのポムロールで生産されている、世界中に数多あるワインの中でも最高峰の一つです。

年により少量のカベルネ・フランをブレンドする事がある様ですが、ほぼメルロー100%の赤ワインです。

生産量が非常に少なく、価格も高価であり、入手困難な事でも有名です。

チャンスがあれば一度は飲んでおきたいワインです。

 

ベリンジャー ナパ・ヴァレー メルロー(Beringer Napa Valley Merlot)

1876年創業の現在ナパ最古のワイナリーです。

数々の賞を受賞した歴史あるワイナリーで、カリフォルニア・ワインの黎明期から市場を支えています。

入手しやすい価格のワインも多く、他品種のワインも手掛けているので、カリフォルニアのスタイルを知るのにも良いワインです。

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