ワインの”ネゴシアン”とは?意味と特徴の解説

【最終更新日】2022年10月15日

ワインの世界におけるネゴシアン(仏:Négociant)とは、主にブルゴーニュやボルドーなどのフランスの銘醸地で古くから用いられてきたキーワードです。

もともとは英語の交渉するの意味のネゴシエイション(negotiation)から来ているとされていて、ワインの生産者と消費者の間に入る仲卸業者のことを指します。

 

特にブルゴーニュでは対比するキーワードとしてドメーヌがあって、ネゴシアンの造るワインはネゴシアンワインと一くくりにして一段下に見る風潮があります。

しかし現在では単にネゴシアンだから品質がドメーヌよりも低いとは言い切れないところもあり、もっと細やかな検討が必要になってきています。

 

ここではワインのキーワードであるネゴシアンをできる限り丁寧に、わかりやすく解説をします。

 

なお、対比するキーワードとして”ドメーヌ”があります。ネゴシアンとドメーヌの違いについてはこちらをご参考ください。

 

ワインのネゴシアンとは?

基礎知識

ワインにおけるネゴシアンは「生産者と消費者を結ぶ仲卸人」と表現しましたが、ここを深掘りしていきましょう。

フランスの銘醸地では、19世紀の後半までは「ワインを造るのは生産者」「ワインを売るのはネゴシアン」とはっきりとした役割分担があったのです。

 

生産者はワインを売る方法を知らないし、ネゴシアンにすればきついワイン造りは生産者がやってくれれば特に問題はありません。

ですが、生産者はブドウ畑を簡単を簡単に変えることができない属地的なビジネスであるのに対してネゴシアンはそのような縛りがありません。

そのため19世紀の後半から20世紀の前半の苦難の時代には、弱小の生産者はネゴシアンの言いなりになるしか方法はなく、手っ取り早く売り上げになる「安くて大量に造れるワイン」を生産者に要求するようになります。

 

これに反発する形で生産者は立ち上がり、複数のドメーヌがネゴシアンに対して対決姿勢をとった時代もあったのです。

 

ネゴシアンの種類

このようにネゴシアンはドメーヌ型生産者(ぶどう栽培からワイン造りまでを一貫して行う形態の生産者)の対義語として使われることも多いです。

ただし現在では一口にネゴシアンといっても様々な形態があるため、ここはワインファンとしては押さえたほうがいいでしょう。

 

生産者一体型ネゴシアン

これはブルゴーニュの優良ネゴシアンに多いです。

ぶどうを栽培農家から買い受けて、買い受けたブドウをワインにして熟成、瓶詰を行い、消費者に販売する形態です。

畑によっては所有して栽培から携わることも多いですが、生産量が多いのですべての畑を所有するわけではなく、大部分は栽培農家にゆだねるという形をとっています。

1990年代に日本に本格的なワインブームが起きたときに、真っ先に日本に多く輸入されたのはこの形態のネゴシアンワインでした。

代表的な例として、ルイジャド、ルイラトゥール、ジョセフドゥルーアン、ブシャールペールエフィスなどがあります。

 

仲買人タイプのネゴシアン

ワイン造りまでを生産者が行い、これを単純に消費者に販売するタイプのネゴシアンです。

例えば協同組合のワインや上記の生産者一体型ネゴシアンから買い受けてブレンドし、自社ブランドとして売り出すこともあります。

また、ボルドーのシャトーワインであればこれを一挙に引きうけて、単純に生産者から消費者に売り渡すだけの仲卸に徹するネゴシアンも多いです。

 

マイクロネゴシアン

マイクロネゴシアンは近年特に注目されている生産者の形態です。

ドメーヌ型と同様にブドウ栽培からふかく関わり、所有権こそありませんが自身で栽培したブドウをワインにする形態の生産者です。

 

特にブルゴーニュでは畑の地価があがり、簡単に所有権を取得することが難しくなっています。

こうなると若手の生産者によってはリスクを負ってブドウ畑を所有するよりも、所有権にはこだわらずにぶどう栽培さえできればいいという考えのところも出てきます。

 

優秀な生産者になれば品質に自信があるため、所有権にはこだわらないところも多く、これらの生産者の造るワインは評価が高く、生産量も少ないので高騰化するケースが増えています。

 

バンジャマンルル―、オリヴィエベルンシュタインなどが代表例です。

 

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