新潟県のワイン|基礎知識とワインの特徴、主なワイナリー

【最終更新日】2023年2月9日

米どころ、日本酒のイメージが強い新潟県ですが、ワイン造りの歴史は古く、1890年には日本ワイン史上の重要人物、「日本ワインの父」とも称される川上善兵衛氏がワイン造りを想定したブドウ栽培を始め、1893年にはワイナリーを設立しています。

またこの地から現在日本の赤用ブドウ品種の中で最も醸造量の多いマスカット・ベーリーAも生まれました。

現在、新潟県の日本ワイン生産量は全国6位、ワイナリー数は10軒ほどですが、近年の日本ワインブームの追い風もあり新潟市西蒲区の海岸地域を中心にワイナリー設立が活発化、新たな銘醸地「新潟ワインコースト」とも呼ばれ注目を集めています。

 

 

新潟県のワインの基礎知識

起源・歴史

新潟県のワイン造りの歴史は長く、ワイン造りが手がけられる約10年も前、1884年、1887年、白根地区(現新潟市南区)でブドウ栽培の取り組みが始まったという記録が残っています。

現在でもこの地域は果樹栽培が大変盛んで、県内のワイナリーにも原料ブドウを供給しています。

また、日本のワインの歴史を語る上で欠くことができないのが、川上善兵衛氏の果たした偉業です。

1868年に上越髙田の豪農の長男として生まれた彼は、若い頃から、豪雪地帯の上痩せていて、稲作やその他の作物のなかなか育たない地元で、農家の暮らしの改善のために、新たな産業を興したいと考えていました。

ワイン用ブドウ栽培を選んだのは、川上家と親交のあった勝海舟からワインを飲ませてもらい、ワインに惹かれたことがきっかけであったとも言われています。

当時、明治政府は殖産興業の一環として、ワイン造りも推奨し始めていましたが、彼も郷里の発展に役立てようと土屋龍憲氏・小澤善平氏などから葡萄栽培とワイン造りを学びました。

 

1890年には邸宅の庭園や裏山を切り開いて岩の原葡萄園を起こし、1893年にはワイナリーを創業しました。

そして日本の気候に適したブドウを栽培するため、欧米からたくさんの種類のブドウの苗木を取り寄せ、栽培を試し、1万回を超えるブドウの交配を繰り替えして、その中から優料品種として22品種を品種登録しました。

現在、日本で赤ワイン用品種として最も広く栽培されているマスカット・ベーリーAはその代表格です。

 

戦後、各地でみられた地域振興の動きが新潟県にも波及し、南魚沼市でも米以外の特産物としてワインが注目されるようになり、岩の原葡萄園に続いてワイナリーが設立されました。

とはいえ、2000年までは県内のワイナリー数はわずか3軒にとどまっていました。


2004年以降、日本ワインブームの追い風もあり、新潟市の西海岸、角田浜・越前浜でワイナリー設立が活発化します。

1992年に設立されたカーブドッチ・ワイナリーが開設したワイナリー経営塾の卒業生達が、次々とその周辺に葡萄園を開園し2013年までに設立されたワイナリーは5軒となりました。

現在このエリアは「新潟ワインコースト」と呼ばれています。

また、2005年には胎内市でも自治体が運営するドメーヌ型ワイナリーが創設され、現在県内のワイナリーは10軒となりました。

 

おもなブドウ品種

前述の川上善兵衛氏が交配した品種の中から選抜された優良品種のマスカット・ベーリーAやブラック・クイーン、レッド・ミルレンニューム、ローズシオターなどが上越市を中心に栽培される一方、新潟県におけるブドウ生産量の1位はシャルドネ、2位がメルロで欧州系品種が占めています。

マスカット・ベーリーAはこれに続く3位です。

特に新潟ワインコーストや胎内市、南魚沼市などには欧州系品種の栽培に力を入れているワイナリーが多く、県全体としてカベルネ・ソーヴィニヨンやアルバリーニョの栽培も増加中です。

特に後者のアルバリーニョは耐病性が高く、比較的降水量が多い地域にも適応するため、今後産地化が進んで行きそうな品種です。

 

ワイン産地

新潟県は日本海に面した細長く伸びた県で、北端のワイナリーがある胎内市から南端のワイナリーがある上越しでは144kmも離れており、気候条件も土壌も異なります。

沿岸部一帯は全般的に海洋性気候、内陸部は盆地気候です。

ワイン用ブドウ産地としては北から胎内市、新潟市南区、南魚沼市、上越市、そして新潟ワインコーストが主要産地です。

 

新潟ワインコースト

新潟砂丘の一角、角田浜と越前浜には直線距離約300m以内に5軒のワイナリーが集まっており、生産者自ら「新潟ワインコースト」と称しています。

砂丘の砂質土壌を活かしたブドウ栽培、欧州系品種にこだわったワイン造りが特徴です。

 

著名なワイナリー

岩の原葡萄園


上越市の妙高連山のすそ野がなだらかに日本海に接する頸城平野にある、「日本ワインの父」とも呼ばれる川上善兵衛氏が1890年に創業した、日本ワインの聖地とも言えるワイナリーです。

気候風土に適したブドウの品種改良や、雪室の冷気を利用してワインを発酵させる豪雪地帯ならではの醸造技術など、創業以来120年以上にわたり、善兵衛氏がブドウとワインにかけた情熱を引き継ぎ、高品質の日本ワインを造りだすための努力を惜しむことなく続けています。

 

カーブドッチ・ワイナリー

「国産生ブドウ100%かつ、欧州系品種100%のワインを造る」という目標を掲げ、1992年、新潟市西蒲区郊外の角田浜に欧州ぶどう栽培研究所として設立。

新潟のワイン造りを牽引するワイナリーです。

ワイナリー名はフランス語でCAVE(ワイン貯蔵庫) de OCCI(創設者落希一郎氏)で、「落さんのワイン蔵」という意味。

ちなみに創設者の落希一郎氏は拠点を北海道余市町に移し、2012年にオチガビワイナリーを設立されています。

周辺は「新潟ワインコースト」と呼ばれるワイナリー集積地区となっており、カーブドッチの経営塾で学んだ卒業生達が立ち上げたワイナリーが点在しています。

 

ワイナリーではブドウ栽培とワイン醸造が行われている他、レストランや温泉、ホテルなどもあり、周辺のワイナリーと併せて滞在型のワインリゾートとなっています。

またこのワイナリー以外にも、新潟市立中央図書館内のカフェをはじめ、新潟市内にいくつかの店舗と東京の迎賓館赤坂離宮内にカフェ&ショップ「カーブドッチ迎賓館」を運営しています。

 

胎内高原ワイナリー/胎内市役所農林水産課

ワイン造りによる、果樹作物の生産振興、地域外の交流人口の増加、地域の活性化を図ることを目的に2007年に創設された全国でも珍しい市営のワイナリー。

畑は高坪山の中腹、標高約250mと高地にあり、土壌は粘土質がベースにもかかわらず、「だしかぜ」と呼ばれる強い風の影響で病害虫の被害が少ないのが特徴です。

欧州系品種の栽培にこだわり、100%自社畑産のブドウでワイン造りを行っています。

中でもツヴァイゲルトレーベのワインが特に高い評価を得ています。

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