シャトーラフィットロートシルトとは?基礎知識と歴史・起源

【最終更新日】2022年11月15日

シャトー・ラフィット・ロートシルト(Château Lafite Rothschild)は、ボルドーのポイヤックにあるシャトーです。

1855年のボルドー格付けでは1級に格付けされています。

世界最高のワインとの呼び声も高く、1855年のボルドー格付けでは1級のトップに位置づけられました。

1855年の格付けは当時の流通価格で決められたとされています。

当時ラフィットロートシルトはシャトーラフィットと呼ばれ、どのシャトーのワインよりも高値で取引がされていたのです。

そして約200年後の現在であってもその人気は衰えず、流通価格はおおむね12~13万円とすべてのメドックのシャトーの中でトップの価格です。

シャトーラフィットロートシルトはぶどう畑も100ヘクタールを超え、ワイナリーとしては大規模になります。

そのためブルゴーニュの小規模ドメーヌやサンテミリオンのカルトワインなどに比べるとワインショップでも見かけることは多いはずです。

 

ラフィットロートシルトのすごさはこれだけの長い期間人気とを保ち続け、かつ、規模も大きいというところがほかのワインとは違う唯一無二の存在感を放っているのです。

 

 

 

シャトーラフィットロートシルト


シャトー・ラフィット・ロートシルトはポイヤックの北端に位置し、シャトー・ムートン・ロートシルトと、サンテステフ村のシャトー・コス・デストゥルネルに挟まれています。

約107ヘクタールの畑には、約70%のカベルネ・ソーヴィニヨン、25%のメルロー、3%のカベルネ・フラン、2%のプティ・ヴェルドが植えられています。

ブドウ収穫は手摘みで行われ、厳しく選果されます。

マセラシオン(醸し)はブドウ品種や成熟度合いにもよりますが、約3週間行われ、醸造はオーク樽とステンレス製の発酵槽で行われます。

熟成は新樽で18~20か月行われます。

 

ラフィット・ロートシルトでは外部の樽を使用せず、自社で樽を製造しています。

樽工房を持っているシャトーはマルゴーなど、他の五大シャトーにも見受けられますが、100%自社製の樽を使用しているのはラフィット・ロートシルトのみです。

 

貴族のステータス

「王のワイン」と称されるほど、品質の高いラフィット・ロートシルトは、フランス貴族から愛されてきました。

かつてフランス貴族の晩餐会ではブルゴーニュワインが出されていました。

マダム・ポンパドゥールがルイ15世にラフィット・ロートシルトを薦め、宮廷の晩餐会に変化をもたらしました。

 

その後もマダム・ポンパドゥールは晩餐会の食卓に、ラフィット・ロートシルトを欠かすことはありませんでした。

また、ポンパドゥールの後釜にすわったマダム・デュバリも、ラフィット・ロートシルトしか飲みませんでした。

このようにラフィット・ロートシルトを飲むことはフランス貴族のステータスとなり、ラフィット・ロートシルトはワインのスターダムにのし上がったのです。

 

若返りのワイン

「王のワイン」と称されるラフィット・ロートシルトですが、「若返りのワイン」という別名も持っています。

先ほどマダム・ポンパドゥールのエピソードを記しましたが、このポンパドゥールにラフィット・ロートシルトを薦めたのがリシュリュー男爵です。

 

このリシュリュー男爵、実は大のブルゴーニュ党でした。

しかし悪友がブルゴーニュワインの瓶のラベルをごまかしボルドーワインを飲ませたところ、その素晴らしさに驚き、熱心なボルドー党へとなりました。(一説によると、強壮剤として医者からラフィット・ロートシルトを薦められていたという説もあります。)

 

ある日ヴェルサイユ宮殿に戻ると、当時60歳を超えていたリシュリュー男爵ですが、ルイ15世から「赴任前よりも若く見える」と言われます。

その時私の若さの秘訣はこれですと、紹介したのがラフィット・ロートシルトだったといわれています。

 

所有者の歴史

もともとラフィット・ロートシルトは今日カロン・セギュールに名が残るセギュール家のものでした。

その後、いくつかのオーナーの変遷を経て、1868年にジェームズ・ド・ロスチャイルド男爵によって落札されます。

 

一般的に、ジェームズの自宅があったラフィット通りと同じ名前だったからという理由でラフィット・ロートシルトを買ったと言われていますが、そう単純ではない背景もあります。

1820年代に仇敵であったアシル・フールやイザーク・ペレールがそれぞれシャトー・ベイシュヴィル、シャトー・パルメを購入していました。

 

1855年のメドック格付けもあり、ロスチャイルド家としてはそれ以下のシャトーを購入できるはずがありませんでした。

つまり面子からいってもどうしてもラフィットを競落したかったのです。

 

1838年当時のラフィットのイラスト

そのような背景の中、ラフィット・ロートシルトが売りに出されますが、この買い取りもすんなりといったわけではありません。

地元の酒商たちが、シンジケートを組んでラフィット・ロートシルトを獲得しようと企てたのです。

当時のメドックのシャトーは新興の金融業で成り上がったビジネスエリートの買収が続き、これがイメージが良くなかったのです。

 

シャトーには豊富な古酒のコレクションや、樽で仕込み中のワインがありました。

そういった点でもボルドー中の酒屋がこの競売の行方を注目していました。

 

しかし1回目の競売は不成立に終わります。

その真相は定かではありませんが、競売はパリの裁判所にまで持ち込まれることになります。

最終的に1868年の8月にロスチャイルド家が買い取ることになりました。

 

最終の買値は、414万フランでした。

抱き合わせで売られたカリュアードが30万フランだったことや、1836年に売られたマルゴーが130万フラン、1853年に売られたムートンが112万フランだったのと比べると、いかに高かったのかが分かります。

このように格付けのみならず長い歴史においてもボルドーワインの頂点であり続けるシャトー・ラフィット・ロートシルトは今もなお多くのワインファンの憧れとなっています。

 

サムネイル画像:Par PA — Travail personnel, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=34441520

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