大阪府のワインとは?基礎知識と特徴、主な産地の解説

【最終更新日】2023年2月9日

実は日本でも有数のワイン造りの長い歴史を持つ大阪府。商業ベースではないものの、安土桃山時代にはすでにブドウ酒らしき酒が造られていたという記録もあります。

1930年代の最盛期には山梨県を凌ぐほどのブドウの栽培面積を誇っていたこともありましたが、昭和の住宅地化によりブドウ園の耕作放棄が続き、その数は激減しました。

しかし近年耕作放棄地を利用した新たなブドウ園の開園や、大阪ワイナリー協会の設立など、大阪のワイン造りを復興させようとする動きが生まれています。

そして2021年には国税庁より、ワイン産地として地理的表示「G.I」大阪の認定を受けました。

 

大阪府のワインの基礎知識

起源・歴史


安土桃山時代の天正年間(1500年代後半)には南河内地方の富田林村(現富田林市)でブドウが栽培され、ブドウ酒が名産だったという記録が残るほど、実は長いワイン造りの歴史をもつ大阪府。

江戸時代にも同様の記録が残っており、幕府にもブドウが献上されていたようです。

明治時代には、新宿御苑の甲州ブドウの苗木が堅下村(現柏原市)に移植されたのをきっかけに甲州ブドウの栽培が盛んになり、明治末期になるとブドウ栽培は中河内地方や南河内地方全域に広がっていきました。

 

本格的なワイン造りが始まったのは大正時代、1914年に果樹園が規格外ブドウの活用のためにワイナリーを立ち上げたのがきっかけです。

その前年にはデラウェアもこの地に導入され、栽培面積を増やしていきます。1935年の最盛期にはブドウの栽培面積は800㏊を超え、ワイナリーは119軒、山梨や岡山にも勝る日本一の栽培面積を誇るブドウの産地となりました。

しかし戦後になり、1959年の伊勢湾台風、1961年の第2室戸台風という2つの台風により大きな被害を受けて以降は、急速な住宅地化や他のブドウ産地の台頭の煽りを受け、ブドウ栽培、ワイナリー数とも激減します。

 

1988年に大阪市内の酒販店が、自家栽培した羽曳野産ブドウでワインを造るワイナリーをスタートさせましたが、この後2000年代に入るまでワイナリーはわずか5軒のみでした。

こうした状況に変化をもたらしたのは2004年以降の日本ワインブームです。

2013年には近年増加がみられる街中ワイナリーが大阪市内に誕生しました。

同ワイナリーは南河内地方で放棄されそうな畑を引き継ぐことで原料を自ら調達し、ワインを醸造、そしてワイナリーに併設する飲食店で自社ワインを販売するというスタイルで、こうした耕作放棄地を引き継ぐという動きはこれ以降他のワイナリーにも広がっていきます。

 

また2012年には、100年以上続くブドウ栽培やワイン造りの歴史を伝え「大阪ワイン」のブランドを守っていくことを主旨した大阪ワイナリー協会も設立されました。

 

ブドウ品種

大阪府のワイン用ブドウの栽培ではデラウェアが最多で、府内で生産される日本ワインの約40%を占めます。

これにマスカット・ベーリーAメルロが続き、その他ナイアガラ、カベルネ・ソーヴィニヨンシャルドネ、キャンベル・アーリー、甲州なども生産されています。

 

ワイン産地

大阪府は豊富な日照時間と比較的温暖で安定した気候、水捌けの良い土壌などブドウ栽培に適しており、生食用やワイン用も含めたブドウの産地は、北部の能勢町や河内地方の枚方市や交野市、柏原市、藤井寺市などに点在しています。

現在ワイナリーは8軒、大阪市の他柏原市や羽曳野市、豊中市に位置しています。

 

著名なワイナリー

カタシモワインフード株式会社

柏原市に位置する西日本で現存する最古のワイナリーで、大正3年創業。日本酒の製造技術を用いてワイン醸造を開始したのが始まりで100年以上の歴史を持つ老舗です。

かつて日本一のブドウ産地だった大阪のブドウ畑を後世に残すためにも、ワイナリーツアーやイベントなど様々な取り組みを積極的に行っています。

デラウェアを原料に瓶内発酵させた代表ワイン「たこシャン」は大阪名物のたこ焼きやお好み焼きだけでなく、ダシを効かせた和食によく合う人気のワインです。

 

飛鳥ワイン株式会社

1934年、羽曳野市に創業した老舗ワイナリー。

自社ブドウ園全てが大阪エコ農産物の認証を取得し、また草生栽培や葡萄の剪定枝、搾りかす、ワインの澱などから堆肥を造り、畑に戻してやる循環型農業で、地球にやさしいワイン造りに取り組んでいます。

自社農園のブドウ100%使用した飛鳥ヴィンテージシリーズは国産ワインコンクールで度々入賞するなど高い評価を受けています。

 

島之内フジマル醸造所

2013年、ワインショップを営んでいた株式会社パピーユが大阪はミナミの島之内に設立した都市型ワイナリー。

柏原市で管理する自社畑では農薬、化学肥料の使用を抑え栽培し、基本的には酵母添加はゼロ、SO2の添加もゼロもしくは微量に抑えたナチュラルな醸造が行われています。

また原料だけでなくブドウ圧搾機やステンレスタンクまで町工場に発注するなど、メイドイン大阪にこだわったワイン造りを行っています。

 

1階がワイナリー、2階にはレストランが併設されており、食事と共に出来立てのワインを楽しめるスタイルで人気を博しています。

ちなみに2015年には東京の清澄白河にも『清澄白河 フジマル醸造所』がオープンしました。

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