山梨県のワインとは?基礎知識とワインの特徴、歴史の解説

【最終更新日】2023年2月9日

山梨県は日本のワイン造りの発祥の地であり、日本ワイン(国産ブドウのみを原料とし日本国内で製造されるワイン)の生産量でも日本全体の約30%を占め、全国1位を誇る生産地です。

ワイナリー数も日本最多の85軒で、文字通り日本のワイン造りを支えてきたのが山梨県です。

2013年には国税庁からG.I「山梨」の指定を受け、日本初のワインの地理的表示となりました。

また2019年には知事が山梨「ワイン県」宣言を行うなど、日本を代表するワイン産地と言えます。

 

山梨県のワインの基礎知識

起源・歴史


山梨県は明治以前から甲州盆地を中心にブドウ栽培の盛んな地域でしたが、明治の初め、殖産興業政策の一環としてワイン造りが始まりました。

1874年、甲府市の山田宥教と詫間憲久によって本格的にワインの生産を行ったことが記録に残っています。

最初に作られた赤ワインはヤマブドウ、白ワインは甲州ブドウからだったとの記録が残っています。

 

 

その後1877年に現在の勝沼にあたる祝村で日本初の民間ワイナリー「大日本山梨葡萄酒会社」が設立。この会社がのちのメルシャン社につながります。

ただしこのころ日本には本格的なワイン造りの技術がなく、伝聞だけではおのずと限界があり、技術を習得することが急務だったのです。

そこで同年この会社の設立メンバーの子弟である高野正誠と土屋龍憲が、ブドウ栽培とワインの醸造を学ぶ為フランスに派遣されます。

帰国後、二人は欧州系ブドウ品種の栽培に着手しますが状況は厳しく、アメリカ系のコンコードなどの導入を試みました。

 

By Aw1805 – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=43540124

その後甲府盆地の勝沼周辺の人々にもワインが浸透していき、1926年にはワイナリーが319軒、1939年には3694軒という最高軒数に達しました。

しかし第二次世界大戦中はソナーの原料として酒石を確保するためにワインの増産が奨励されたものの、ワイナリーの軒数自体は強制統合により激減してしまいました。

 

戦後は甘味果実酒全盛期を経て、「ワイン元年」と称される1973年、ワイン消費量が一挙に前年比162%に上昇しました。

それ以降国内ワイン市場の拡大に伴い、大手ワイナリーを中心にカベルネ・ソーヴィニヨンメルロなどの欧州系品種の本格栽培が開始され、これによりブドウ栽培に根ざしたワイン造りが盛んになってゆきます。

 

2000年以降、醸造所自体は甲府盆地の中央部や東部にありながら、八ヶ岳山麓に自社管理農園を置くワイナリーや、「ドメーヌ型」のワイナリーも増え続け、現在でもその動きは続いています。

 

ブドウ品種

山梨県での主要なブドウ品種は甲州マスカット・ベーリーA(ベイリー×マスカットハンブルグ↑)、さらにデラウェア、巨峰、メルロと続きます。

甲州が生産量全体の約48%、マスカット・ベーリーAが27%でこの2品種で全体の約75%を占めますが、いずれの品種もワイン用だけでなく生食用にも使用されています。

またこれらの2品種に比べるとわずかですが、温暖な気候でも糖度の上がりやすいプティ・ヴェルドの栽培も増えてきています。

 

 

ワイン産地

山梨県は日本のほぼ中央に位置し、北は八ヶ岳、南は富士山、西は南アルプスと標高の高い山々に囲まれた内陸県です。

その中心部に甲府盆地があり、ワイン造りおよびワインの原料となるブドウ栽培は多くがこの甲府盆地周辺に集中しており、主に4つのエリアに区分されます。

甲府盆地は盆地気候で昼夜および夏と冬の寒暖差が大きく、また日照量はすべての地域で1200時間を超えることから優れたブドウ産地と言えます。

 

甲府盆地東部


山梨県を代表するワイン産地勝沼を含む、甲州市、山梨市、笛吹市からなるエリア。

日本ワイン発祥の地であり、日本の大手メーカー3社の他、県内のワイナリーの7割がこのエリアに集まる、山梨県のワイン造りの中心地です。

 

甲府盆地中央部

甲州市を中心としたエリア。

ブドウ育成期間の平均気温が高く、盆地の底部に位置していることから、水はけのよいところを選んでブドウの栽培が行われています。

早くから欧州系品種のカベルネ・ソーヴィニヨンの栽培に注力したワイナリー、サドヤをはじめ、4軒のワイナリーが点在しています。

 

甲府盆地西北部

北杜市、韮崎市、甲斐市を含むエリア。

2000年ごろから新たな畑が次々と開かれている注目のエリアで、近年ブドウ栽培からワイン醸造まで一貫して行う「ドメーヌ型」ワイナリーも続々と誕生しています。

また甲州ブドウの垣根栽培が初めて本格的に取り組まれたのもこのエリアで、そのワインは世界的にも高い評価を受けました。

 

甲府盆地西部

南アルプス市を中心とするエリア 。主要品種は甲州で、こちらも近年ワイナリーの新設が活発化している注目のエリアです。

 

 

著名なワイナリー

シャトー・メルシャン

日本初の民間ワイナリー「大日本山梨葡萄酒会社」の流れをくむ日本最古のワイナリーの一つです。

「良いワインとはその土地の気候・風土・生産者によって育まれるブドウの個性を、素直に表現したものである」という信念のもと、「フィネス&エレガンス~調和のとれた上品な味わい~」というスタイルのワインをリリースし続けています。

甘味葡萄酒が主流だった昭和20~30年代から甘味料等を添加しない本格ワインを造り始めます。

 

メルシャンというとコンビニやスーパーに並ぶ廉価なワインもありますが、実際には国内ブドウを使った高品質な日本ワインも多く手掛けています。

本格ワイン造りを始めて以降、権威ある国際ワインコンクールで次々と受賞を重ねてきた、日本ワインのリーディング・ブランドです。

 

サントリーワインインターナショナル 登美の丘ワイナリー

1909年に開園した登美農園に始まる、100年を超える長い歴史を持つ日本を代表するワイナリーです。

ワイナリーの位置する甲斐市の富士山を望む高台は、雨が少なくて日照時間が長く、昼夜の寒暖差が大きいという理想的な栽培環境。

この農園の名前を冠した自園産ブドウ100%にこだわった「登美の丘ワイナリー」シリーズは優美で繊細な味わいです。

 

Beau Paysage


栽培醸造家岡本英史氏によって1999年に北杜市津金に設立された、近年増えつつある「ドメーヌ型」を代表するワイナリーです。

ワイナリー名はフランス語で「美しい景色」を意味します。

「ワインは人が造るものではなく、土地が造るもの」という思想のもと自然が自らの力でワインを育めるように手助けし、あるがままを受け入れるワイン造りを行っています。

また、そんな彼の造るワインは購入の難しさから幻のワインとなっています。

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