ポイヤックのワインとは?基礎知識と味わいの特徴、合わせる料理

【最終更新日】2022年10月29日

ポイヤック(Pauillac)は、フランスのボルドー地方、メドック地区にあるワイン産地です。

ボルドー地方の中でも非常に品質が高いワインを生む産地であり『ボルドーワインの真髄』とも評される銘醸地です。

メドック格付け最上位である1級シャトー(5大シャトー)のうち、シャトー・ラフィット・ロートシルトシャトー・ラトゥールシャトー・ムートン・ロートシルトの3つがこのポイヤックに集中しています。

 

メドック地区に流れるジロンド河の左岸に位置し、ボルドー市から北に50キロメートルに場所にあります。

ポイヤックの北にはサン・テスフス、南にはサン・ジュリアンといった産地があります。ブドウの栽培面積はおよそ1,200ヘクタール。

砂利質で水はけがよく、ブドウ栽培に適した土壌です。

 

ポイヤックの町は人口5,000人ほどです。

標高は他の地域よりやや高い位置にあり、特に北川エリアでは海抜30メートル近くに達する地域もあります。

 

ポイヤックのワインの基礎知識

ポイヤックの規定

ぶどう品種は典型的なボルドーブレンドで、カベルネ・ソーヴィニョンメルローカベルネ・フラン、プティヴェルドなどが認められています。

ただしポイヤックのどのシャトーもカベルネ・ソーヴィニヨンの比率が高めであり、力強く骨格のしっかりしたワインが造られます。

 

栽培密度は1ヘクタール当たり7000本が上限になっていて、畝の間隔は最大1.5m、ブドウ樹同士の距離は80㎝以下となっています。

ぶどう樹同士の距離が短いことで競争が生まれ、根は横に広がらず垂直に地下に伸び、結果として地中深くの成分を汲み上げることができ、味わいに深みをもたらすとされています。

最大収穫量は1ヘクタール当たり9500kgですが、格付けシャトーはこれよりも低く収量を設定し、味わいに凝縮感と複雑味を与えています。

 

色調は深みのあるガーネットで濃い外観のワインが多いです。

長期熟成型の濃厚でタンニンの濃い、香り豊かなワインが造られます。

カベルネ・ソーヴィニヨンとブレンドされるブドウ品種としてはメルローが代表的ですが、ボルドーの地方のすべての赤ワインと同様に、カベルネ フラン、プティ ヴェルド、マルベック、カルメネールもブレンドすることができます。

 

【カベルネ・ソーヴィニョンについてはこちらをご覧ください】

 

ポイヤックの著名なシャトー

1855年に行われたメドック格付けのうち、このポイヤックには1級格付けが3つ、2級から5級までのシャトーが15存在しています。

この18シャトーでポイヤック全体の生産量の80%ほどを占めることからもポイヤックの品質がいかに優れたものかがわかります。

 

シャトー・ラフィットロートシルト

1級格付けのひとつ、シャトー・ラフィット・ロートシルトは、1855 年の格付けで1級の筆頭に挙げられました。

1855年格付けは当時の流通価格でランク付けがされ、ラフィットは最も高値で取引がされていたのです。

それ以来品質と名声を落とすことなく、世界で最も高価な赤ワインの 1つとなっています。

 

 

1869 年ヴィンテージは2010 年にオークションで 233,973ドルの値がつけられました。

これはこれまでに販売されたワインの中で、最も高価なものとして世界記録を保持しています。(2022年8月5日時点)

ラフィットのシャトー名はガスコーニュ地方の言葉で「la hite(小高い丘)」が語源になっています。

 

シャトー・ラトゥール

シャトー・ラトゥールはポイヤックの3つの1級格付けシャトーの中で、唯一南側の河沿いに位置しています。

特に砂礫質の土壌が多く、この土壌がカベルネ・ソーヴィニヨンの栽培に適していることから、成熟度が高く濃厚なワインが産み出されています。

 

豊かなタンニンもその特徴であり、ポイヤックの中でも特に重厚なワインを産み出しています。

ラトゥールは「塔」の意味で、シャトーに塔があることが由来となっています。

 

シャトー・ムートン・ロートシルト

シャトー・ムートン・ロートシルトは1973年に2級から1級格付けに昇格したシャトーです。

もともと1855年の格付け時においても1級を強く期待されていましたが、結果は2級筆頭にされ痛恨の極みを味わった経緯があります。

昇格時は他のシャトーを寄せ付けず、唯一の例外として当時農務相であったジャックシラクによって署名され、認定されました。

ヴィンテージごとに著名な画家にラベル制作を依頼していることでも有名です。

カベルネ・ソーヴィニヨンの比率が約80パーセントと特に高く、濃厚にして豪華なワインを生産しています。

ムートンのシャトー名は『羊』が本来の意味ではなく、古フランス語で小高い土地を意味する「motte」、「mothon」から来ていると言われています。

 

格付けシャトー一覧

ポイヤックの18の格付けシャトーは以下の通りです。

【1級】

Chateau Lafite-Rothschild ( シャトー・ラフィット・ロートシルト )

Chateau Latour ( シャトー・ラトゥール

Chateau Mouton- Rothschild ( シャトー・ムートン・ロートシルト

【2級】

Chateau Pichon-Logueville Baron ( シャトー・ピション・ロングヴィル・バロン )

Chateau Pichon-Logueville Comtesse de Lalande ( シャトー・ピション・ロングヴィル コンテス・ド・ラランド )

【3級】

なし

【4級】

Chateau Duhart-Milon Rothschild ( シャトー・デュアール・ミロン・ロートシルト )

【5級】

Chateau d’Armailhac ( シャトー・ダルマイヤック )

Chateau Haut-Bages-Libéral ( シャトー・オー・バージュ・リベラル )

Chateau Croizet-Bages ( シャトー・クロワゼ・バージュ )

Chateau Lynsh-Bages ( シャトー・ランシュ・バージュ )

Chateau Clerc-Milon ( シャトー・クレール・ミロン )

Chateau Pontet-Canet ( シャトー・ポンテ・カネ )

Chateau Lynsh-Moussas ( シャトー・ランシュ・ムーサ )

Chateau Pédesclaux ( シャトー・ペデスクロー )

Chateau Batailley ( シャトー・バタイエ )

Chateau Haut-Batailley ( シャトー・オー・バタイエ )

Chateau Grand-Puy-Lacoste ( シャトー・グラン・ピュイ・ラコスト )

Chateau Grand-Puy-Ducasse ( シャトー・グラン・ピュイ・デュカス )

 

 

味わいの特徴

メドック地区の中では特に筋肉質で渋味も強く、飲みごたえのあり味わいです。

カシス、ブラックチェリーなどの果実や、ばら、甘草、西洋杉などの香りが特徴です。

また、カベルネ・ソーヴィニヨンを主体としていることから酸味とタンニンをしっかり感じられる重厚な味わいとなります。

 

全体的にタンニンが強めのため、メドックの中でも特に熟成に耐えられるものが多く、格付けシャトーでは20年ほど、1級シャトーであれば30年は熟成することで品質が向上します。

熟成を経るとしっかりとしていた酸味やタンニンがまろやかになり、より繊細で複雑な味わいに変化していきます。

 

 

マリアージュ

渋みが強く、しっかりした味わいのワインのため、全般的に赤身肉の料理が合うとされています。

牛肉、仔羊肉、ジビエなどの風味の強い素材の料理はポイヤックとは鉄板の組み合わせでしょう。

 

格付けシャトーになると力強くかつ同時に繊細さも持ち合わせていますので、素材の味を引き出した料理がお勧めです。

そのため塊のままじっくりと火を通したローストしたお肉料理全般と相性がよいとされています。

牛フィレ肉をデュクセルとともに塊のままパイ包み焼きにしたようなお料理とは最高のマリアージュになります。

 

伝統的にはラム肉とのマリアージュが取り上げられています。

ラム肉の独特の風味やスパイシーな味わいと、タンニンを豊富に含む濃厚なポイヤックの赤ワインの相性は抜群です。

また、ラム肉以外では、レアなカルビやランプ肉などとの相性も非常にマッチします。

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