カベルネソーヴィニョンとは?ぶどうの特徴と基礎知識、合わせる料理

【最終更新日】2023年2月16日

カベルネ・ソーヴィニヨン(Cabernet Sauvignon)は、フランスのボルドー地方が原産の黒ブドウ品種です。

世界中のワイン生産国で広く栽培されており、かつ人気も高いため、まさに黒ぶどうの代表的な人気品種といえるでしょう。

 

カベルネ・ソーヴィニヨンはカベルネ・フランとソーヴィニヨン・ブランの自然交配によって生まれました。

現在では世界中で栽培されていますが、成熟しにくい品種でもあるため、とりわけ太陽光を十分に得られる温かい気候を好みます。

 

カベルネ・ソーヴィニヨンの果実は小粒で果皮が厚く、豊富な酸と渋みを持ちます。

つくられるワインも一般的には、深い色調で豊かな香りと渋みがあり、力強いフルボディの赤ワインが多いでしょう。

リーズナブルなデイリーワインから世界的な高級ワインまで、幅広くつくりだすポテンシャルの高い品種とされています。

 

カベルネソーヴィニョンとは?

ブドウの特徴

カベルネ・ソーヴィニヨンは、特にフランスでは他のブドウ品種とブレンドされることが定番となっています。

ブレンドに使われる品種としては、メルローカベルネ・フラン、マルベックやカルメネールなどが挙げられます。

単一品種でつくられることもありますが、若いうちは酸味や渋みを強く感じやすく、ブレンドすることで味わいをやわらげ、バランスをとることができます。

 

出来上がるワインの外観は、黒みを帯びた深いルビー色で、ピノ・ノワールマスカット・ベーリーAなどと比べると、色合いは明らかに濃くなるものが多いです。

香りには、ブラックベリーやカシスなどの黒系果物にスミレの花、樽熟成によってヴァニラや丁字(クローヴ)などのスパイスのアロマも感じます。

 

また、長期の熟成を経ることでなめし革やタバコ、トリュフなど、複雑な香りが出てくるものもあります。

味わいはパワフルでしっかりとした印象となるものが多いです。

凝縮感のある果実味にはっきりとした酸味と渋みがあり、余韻には心地良い苦味を伴うこともあるでしょう。

また、高品質なワインであれば長期の熟成を経ることで、丸みを帯びたなめらかな味わいにも変化していきます。

 

ピーマンの香り?

カベルネ・ソーヴィニョンのブドウにはイソブチル メトキシピラジン(Isobutyl-methoxypyrazine IBMP)と呼ばれる物質が含まれ、これがしばしばピーマンの様な香りをもたらすとされています。

イソブチル メトキシピラジン(以下 ピラジンと略します)はカベルネ・ソーヴィニョンやカベルネ・フランなどの黒ぶどうに含まれていて、ぶどうが未熟な場合に多く存在し、成熟とともにゼロに近くなることがわかっています。

 

カベルネ・ソーヴィニョンのピーマン香はボルドーワインで特に顕著でした。

もともとボルドー地方は今よりも気温が低く、そのため現在よりも成熟が達していなかったこともありました。

そうなるとピラジンはぶどうに残った状態で収穫をされ、ワインにはピーマンの様な香りが残ることもあったのです。

 

しかし現在のボルドー地方は気温も高く、ほとんどの場合はピーマン香は全く感じられないか、感じられても程よく複雑な印象を与える程度になっています。

 

なお、ピラジンのピーマン香は、ボルドー地方では”そのぶどうらしさ”であるという個性として受け止められていて、ある程度のピーマン香は許容されています。

一方のニューワールドでは消費者から強烈に嫌われている傾向があり、できる限りピーマン香はない方が良いとする生産者が多いです。

 

主な生産地域

ボルドー地方(フランス)


フランスではボルドー地方や南フランスで主に栽培されています。

ボルドー地方はボルドー市を中心に、ジロンド川とその支流を挟んで東西で左岸と右岸にわかれます。

特に左岸地域において、カベルネ・ソーヴィニヨンを主体とした、長期熟成可能な骨格のしっかりとしたワインがつくられています。

 

ボルドー地方は穏やかな海洋性気候ですが、降水量も比較的多く、天候が安定しない年もあります。

ボルドーのワインは他品種とブレンドすることが多いのですが、この気候特徴によりブドウの質が年によって異なりやすいことも理由となっています。

 

1855年にはパリ万国博覧会において、ボルドーワイン(メドック地区)の格付けが行われました。

当時から高額で取引されていたワインを対象に、1級から5級まで格付けされ、その後シャトー・ムートン・ロスチャイルドの唯一の昇格を除いて、現在に至るまで改定は行われていません。

このときに格付けされたワインを筆頭に、カベルネ・ソーヴィニヨンからは高級なワインも多く生み出されています。

 

チリ

チリではカベルネ・ソーヴィニヨンが、最も広く栽培されているブドウ品種となっています。

ワインは単一品種でつくられるものもあれば、メルローやカルメネールなどの品種とブレンドされるものもあります。

チリは南北に細長い国ですが、ブドウ栽培は主に国土の中間部分に広がっています。

とくに、東のアンデス山脈と西の海岸山脈に挟まれたセントラル・ヴァレーとよばれる地域で、カベルネ・ソーヴィニヨンは広く栽培されています。

典型的な地中海性気候で、春から夏にかけての降水量は少なく、ブドウ栽培に適した気候といわれています。

この気候の影響から、できあがるブドウの質は安定し、大量生産も可能としています。

やはりチリといえば、リーズナブルなワインの印象があると思いますが、近年ではより栽培地の個性を活かした、果実味と複雑味を備えたプレミアムなワインづくりも行われています。

 

アメリカ


ニューワールドを代表するワイン産地といえるアメリカ。

1976年にパリで開催されたブラインド・テイスティング会にて、カリフォルニアのカベルネ・ソーヴィニヨンでつくられたワインが、フランスのボルドー1級シャトーを超える評価を得るという衝撃の出来事がありました。

これにより、世界中でワイン栽培や醸造の情報交換が活発化し、アメリカはもちろんのことフランス以外の国々でもワインの品質が高まるきっかけとなりました。

 

アメリカではほとんどの州でワインがつくられていますが、カリフォルニア州が全生産量の80%以上を占めています。

このほか、オレゴン州やワシントン州、ニューヨーク州も注目の産地です。

カベルネ・ソーヴィニヨンにおいては、カリフォルニア州のなかでもナパ・ヴァレーを擁するナパ地域が特に有名でしょう。

さきのパリ・テイスティングでフランスを超えたとされるワインを含め、著名なワインがナパ地域でつくられています。

ナパ地域もチリ同様に地中海性気候で、太平洋から吹き込む涼しい海風の影響もブドウ栽培に適した環境をうみだす要因となっています。

 

ワインは木樽で熟成され、トーストの香りやヴァニラの香りを持つパワフルで濃厚なスタイルが多く、世界的な人気を獲得してきました。

近年では、濃厚な味わいだけではなく、よりテロワールを重視したエレガントさを追求したものなど、つくられるワインも様々なスタイルに広がってきています。

 

オーストラリア


オーストラリアは非常に広大な国土を有していますが、ブドウ栽培地域は国の南半分、東西にわたって分布しています。

同国で代表的な品種といえばシラーズですが、カベルネ・ソーヴィニヨンは2番目に広く栽培されています。

 

代表的なカベルネ・ソーヴィニヨンの産地としては、西オーストラリア州のマーガレット・リヴァー、南オーストラリア州のクナワラが挙げられます。

マーガレット・リヴァーではメルローとブレンドされることもあり、ボルドーに似たスタイルのワインがつくられています。

クナワラでは、表土が赤いテラロッサとよばれる土壌のもとで栽培されている地域があります。

この地でつくられるワインはオーストラリアでも最上級とされ、豊富なタンニン、凝縮したカシスやプラムなどの黒系果実、ミントやユーカリといった清涼感も感じられます。

 

その他の産地

そのほか、スペイン、アルゼンチン、イタリア、南アフリカなど、世界の様々な国や地域で栽培されています。

 

合わせる料理、ペアリング

カベルネ・ソーヴィニヨンは濃厚な味わいで渋みがあり、樽の香りを伴うワインに仕上がることが多いため、繊細な料理というよりはワインと同程度の重み、質感のある料理が合うとされています。

ステーキのような脂のある料理や、グリルや燻製などのローストした料理であれば、渋みが中和されて樽の香りに近づくことでバランスが取りやすくなります。

サーロインステーキやラム肉のグリルなど、肉の脂身や香りとワインの風味が調和することでしょう。

 

また、チェダー、モッツァレラ、ブリー、コンテ、ミモレットなど、多くのチーズとも相性が良いため、ぜひ色々な組み合わせを試して、あなたのお気に入りを発見してみてください。

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