バローロのMGAとは|代表的なMGA

【最終更新日】2023年11月25日

イタリアワインを代表し、「ワインの王」であり「王のワイン」と称されるバローロ

長い歴史を誇るワインですが、近年新たな流れが起こっています。それがMGAの認定です。

 

MGAとはMenzioni Geografiche Aggiuntive=追加地理的表示のことで、ブルゴーニュのようにクリュを表記することが認められたのです。

それまでバローロはクリュやサブゾーンを表記することはなかったのですが、どのようにしてクリュを表記するに至ったのでしょうか。

本記事ではその歴史を振り返り、代表的なMGAをご紹介いたします。

 

バローロのMGAとは?

歴史・起源


2014年にMGAの表記が認められることになったのですが、実はバローロは昔から単一畑の文化があったわけではありありません。

かつてバローロは大商人が複数の農家からブドウを買い付けてワインを生産しており、各地の畑をブレンドして造られていました。

 

しかし1961年にプルノットが初めて単一畑「ブッシア」のワインを造り、その後ヴィエッティの「ロッケ・ディ・カスティリオーネ」などが続き各社がクリュ・バローロを生産していきます。

 

そして1979年にはラ・モッラの生産者レナート・ラッティがバローロ地図を作成しました。さらにクリュごとのテロワールや、そこから生まれるワインの個性の違いを認識し、44のクリュと私的見解に基づいた格付けを制定しました。

これによってバローロのクリュの概念が確立されたと言われています。

 

なぜバローロでクリュの概念が確立されたのか

バローロを産み出すランゲの丘陵は一枚の斜面ではなく、起伏に富んだ多面体のようになっています。

ラ・モッラやバローロの村がある西側は温暖な気候で、青い泥灰土の軽めの土壌を持ち、セッラルンガ・ダルバやカスティリオーネ・ファレットがある東側は冷涼な気候で、灰褐色の泥灰土で鉄分が多い重めの土壌となっています。

一般的に西側は華やかな香りでタンニンが柔らかなワイン、東側は力強くタンニンがしっかりした長熟タイプのワインになると言われています。

 

さらにバローロでは各村ごとに微気候(ミクロクリマ)があり、畑によって斜面の向きや角度、日照時間や土壌が異なり、それぞれ個性を持ったクリュが存在しています。

 

バローロの複雑で多様性に富んだテロワールを表現するのにMGAの制度がうってつけだったというわけです。

 

代表的なMGA

さて、ここからは代表的なMGAを紹介いたします。

 

ロッケ・デッラヌンツィアータ Rocche dell’Annunziata

ラ・モッラ村で最も有名な単一畑で、バローロの地図を作成したレナート・ラッティやロベルト・ヴォエルツィオなどが所有している畑です。

南南東向きの日照量が豊富な畑で、青い泥灰土土壌から成り、ラ・モッラらしいエレガントなワインが造られます。

 

ブルナーテ Brunate

ロベルト・ヴォエルツィオ、ジュゼッペ・リナルデなどが所有している畑です。

ロッケ・デッラヌンツィアータと同じくラ・モッラ村に位置していますが、粘土質も若干含まれた重い石灰土壌を持ち、力強く厳格な味わいのバローロを産み出します。

 

カンヌビ Cannubi

バローロのクリュの中でも最も知名度があるものの一つがカンヌビでしょう。

イタリアワイン醸造の源とも言われるカンヌビはバローロ村にあり、標高は150~350mで土壌は砂質、石灰質を多く含み、痩せて水はけが良い畑です。

エレガントなタンニン、豊かな果実味、長期熟成を可能にする酸を兼ね備えた多くのバローロ生産者にとって悪魔に魂を売ってでも手に入れたいクリュと言われています。

 

モンプリヴァート Monprivato

こちらはカスティリオーネ・ファレットにあり、ジュゼッペ・マスカレッロの単独所有畑です。

バローロの中でも最も権威のある畑であり、レナート・ラッティが作成した地図においても最良の畑として紹介されています。

石灰分が90%以上と非常に高いのが特徴の土壌で、悪天候の影響も少ない恵まれた環境です。

 

ジュゼッペ・マスカレッロが造る最上級モンプリヴァート リゼルヴァ・カ・ドゥモリッシオはカスティリオーネ・ファレット村の最高峰のワインとして位置づけられています。

 

フランチャ Francia

セッラルンガ・ダルバ村の南端に位置する、ジャコモ・コンテルノの単独所有畑です。

ジャコモ・コンテルノは伝説と謳われ別格の存在として称えられています。

日照を受けやすい開いた好立地にあり、造られるワインはクラシックで長期熟成向きのスタイルです。

 

ブッシア Bussia

モンフォルテ・ダルバ村にある畑で、アルド・コンテルノや初の単一畑キュヴェをリリースしたプルノットなどが所有しています。

約300haもの広大な畑で地図を見ていただくとその大きさが一目で分かるかと思います。

エレガントな味わいと、ストラクチャーを併せ持ち、熟成能力も持つワインを生み出します。

 

主なMGA

Barolo

Bricco Viole, Brunate, Cannubi, Cannubi Boschis ,Rue,San Lorenzo ,Sarmassa ,Via Nuova, Rocche di Castiglione

Castiglione Falletto

Bricco Rocche, Fiasc, Mariondino, Monprivato, Parussi (or Parusso), Pira,Rivera, Villero

La Morra

Arborina, Brunate, Cerequio, Gattera, Giachini,Marcenasco, Rocche dell’Annunziata

Monforte d’Alba

Bussia, Cicala, Colonnello, Dardi, Ginestra,Mosconi, Munie, Romirasco, Santo Stefano

Serralunga d’Alba

Falletto ,Francia, La Serra, Marenca, Marenca-Rivette,Margheria, Ornato, Parafada, Vigna Rionda

 

まとめ

今回はバローロのMGAについてご紹介いたしました。

バローロは非常に個性に富んだ畑を有する産地です。

ソムリエ試験などに出るのは村の名前や位置くらいですが、バローロにはさらに奥深いクリュの世界があります。

是非クリュ・バローロを試してみてはいかがでしょうか。

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