【基本】フランス料理における様々なソース

【最終更新日】2024年1月24日

ソムリエ、ワインエキスパートの方は料理に弱い!

ワインエキスパートを取得し、その言葉を耳にする機会が増えたように感じます。

日本のソムリエ、ワインエキスパートはワインの勉強は熱心にするけれども、料理の勉強はあまりされていない。そう揶揄されているのでしょう。

 

しかしながら、いざ勉強を始めるとなっても、料理の勉強って何から取り組めばいいかわからない。そんな方も多いかと思います。

料理とワインのペアリングを考える上で、初めに思いつくのはフランス料理やイタリア料理ではないでしょうか?

ここで、いきなり和食や中華が思う浮かぶ事はまずないでしょう。

ですので、今回はフランス料理をみていきましょう。

 

フランス料理の特徴の一つとして多彩な素晴らしいソースの数々があげられます。

バラエティー豊かなソースはメインを引き立て、美味しさはもちろん、驚きや感動すらも与えてくれます。

まずは「基本のソース」に的を絞って記事を書きたいと思います。

 

料理はワイン同様、時代と共に変化してきており、現在は軽さを求める風潮にあります。

現在はあまり使われていないソースもありますが、まずは基本を知り、身につけるためにも、定番のソースをあえて紹介をしていきたいと思います。

 

そんな記事を書く私ですが、

ワインブックススクールWBSで学習し、2023年度に1発でワインエキスパート試験に合格しました。

ワインエキスパート試験合格以前には、調理学校の通信教育でフランス料理・イタリア料理技術講座を1年間受講し、卒業した経歴があります。その当時の資料、参考書を中心に今回の記事を作っていきたいと思います。

それでは早速みていきましょう。

 

フランス料理の基本的なソース

基本のフォン(fond)とは?

ソースを学習するにあたって、そのベースとなるものをまずみていきます。それがフォンです。

フォンとは、いわゆる”だし汁”のことです。

フランス料理では子牛の肉や骨、鶏ガラ、魚のあらなどの主材料に香味野菜を加えて煮出してだし汁を取ります。

出来上がりの色によって、大きく茶色いフォンと白いフォンの2つに分けられ、茶色いフォンは茶色い料理に、白いフォンは白い料理へ用いられます。

 

フォンと似た用語として、ジュ(jus)やブイヨン(bouillon)という言葉があります。

ジュの場合、メインの食材と同じだし汁を用い、フォンとは異なり、短時間で煮出します。

必要な時に、必要な量を作るため、主材料の味がしっかりと出ます。そのため、そのまま調味してソースとして用いることがほとんどとなります。

 

ブイヨンは牛の塊肉と骨を野菜と共に長時間に出して、材料の味を十分に引き出しただし汁で、コンソメのベースとして用いられます。

元々はポトフの煮汁のことをブイヨンと呼ばれていたようです。

ブイヨンに肉や野菜を加え、さらに味を出しながら卵白で清澄化したものがコンソメと呼ばれます。

ここでは代表的なフォンをみていきます。

 

白いフォン

鶏のフォン(フォン・ド・ヴォライユ/ fond de volaille)

鶏ガラと香味野菜などを生のまま水から煮出してとることで、淡い色合いになります。

様々なソース、ポタージュ全般のベース、白身のお肉を茹でたり、白い煮込みなど、白く仕上げる料理やソースに幅広く用いられます。

 

魚のフュメ(フュメ・ド・ポワソン/fumet de poisson)

魚のあらと香味野菜を短時間で煮出してとる白いフォン(魚のだし汁の場合は一般的にフュメと呼ばれる)。

あらを色付けないように炒めてから煮出す方法と、生から煮出す2通りの作り方があります。炒めてから煮出した方がコクが出て、ソースのベースに向いています。

魚介類の料理やソース、魚介類のポタージュのベースとして用いられます。

 

茶色いフォン

子牛のフォン(フォン・ド・ヴォ/fond de veau)

子牛の肉と骨、香味野菜を焼いたり炒めて色をつけ、それを煮出した茶色いフォンで、ゼラチン質を多く含み、肉と骨のうま味が強く、色が濃いのが特徴。

茶色く仕上げる肉料理や、肉用の茶色いソースのベースとして用いられます。

 

ジビエのフォン(フォン・ド・ジビエ/fond de gibier)

鹿、猪、野うさぎ、野鳥などの狩猟で捕らえて料理に用いる野生動物をジビエと呼び、それらの骨やがら、くず肉などを用いてフォン・ド・ヴォと同様にとる茶色いフォン。

ジビエ料理やそれに添えるソースのベースとして用いられます。

 

また、フォンに関する用語として、グラス(glace)というものがあります。

グラスとは煮詰めたという意味で、フォンを煮詰めたもののことです。

グラスを料理の仕上げに少量加えることで、こくと旨みを与えます。代表的なものとして、フォン・ド・ヴォを煮詰めて作ったグラス・ド・ヴィアンド(glacé de viande)が有名になります。

ベースとなるフォンについては理解できましたか?次はいよいよソースについてみていきます。

 

代表的なソース

ソースは種類が多いので、原材料ごとに分類して、記載をしました。

①酢と油を使うソース

・ソース・ヴィネグレット

酢と油を混ぜて作るシンプルなソース。一般的に言われるフレンチドレッシングのこと。

酢と油の種類を変えて風味に変化をつけたり、香草や野菜を加えて多様なバリエーションができます。

サラダ類のほか、様々なオードブルや魚介類のソースとしても用いられます。

 

②卵を使うソース

・ソース・マヨネーズ

言わずと知れたマヨネーズのこと。

卵黄、酢、油、マスタードで作る冷製の乳化ソース。

様々なソースのベースとなり、応用の幅が広い。細かく刻んだ玉ねぎや香草類、固茹で卵を加えたソース・タルタルは有名ですね。

サラダや肉・魚介・卵などの冷製料理に用いられます。

 

・ソース・オランデーズ

Par Mark James Miller — Travail personnel, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=25057032

卵黄と澄ましバターで作るシンプルな味のソース。

単独でも使用されますが、他のソースに加えて濃度やコクをつけたりもできます。

他にも、ソース・オランデーズで濃度を出したソースを料理にかけ、高温のオーブンでさっと焼き色をつけて仕上げられることもあります。

茹でたり蒸したりした魚介料理や野菜料理のソースに用いられます。

 

・ソース・ベアルネーズ

ソース・オランデーズと同じように作られるが、酢、エシャロット、エストラゴン、ミニョネットのレディクション(煮詰めたもの)が入ったもの。

仕上げに香草のみじん切りも入るため、オランデーズよりもしっかりとした酢や香草の風味が特徴。

グリエした肉料理や魚介料理に添えられます。

これにトマトの果肉を煮詰めたものを加えると、ソース・ショロンとなります。

 

③ルー(小麦粉+バター)を使うソース

・ソース・ベシャメル

言わずと知れたホワイトソースのことです。白いルーと牛乳で作られます。

今日のフランス料理ではその重さから使用頻度が減ってきているようですが、日本の洋食の分野ではまだまだ使用頻度が高めになります。

グラタンやクリームコロッケなどに用いられ、用途に応じて濃度を調節されます。

 

・ソース・ヴルーテ

「ビードロのような」という意味を持つ滑らかなソース。ソース・ベシャメルが牛乳を使うのに対して、ソース・ヴルーテは白いフォンで作られます。

魚介料理、鶏料理、子牛料理などのソースやポタージュとして用いられます。主素材と同じフォンでソース・ヴルーテを作るのが基本になります。

こちらもベースとなるソースなので、他のソースへ派生していきます。

 

④フォン・ド・ヴォを使うソース

・ソース・エスパニョル

フォン・ド・ヴォと茶色いルーで作るソースで、煮込み料理や茶色いソースのベースに用いられる基本のソース。

ソース・エスパニョルに赤ワインなどを加え、味をさらに濃くしたものがソース・デミグラスです。

ソース・デミグラスなどはスーパーなどにも売られている馴染み深いソースですが、洋食店以外では使用頻度が減っているようです。

 

・ソース・ヴァン・ルージュ /ソース・マデール /ソース・ポルト

この3種類はワインベースのソースになります。しっかりと煮詰めたワインに濃度のついたフォン・ド・ヴォで作る濃厚なソースです。

赤ワインは色が濃く、こくのあるもの、マデイラ酒やポートワインは甘口を用います。

牛や子羊、鴨などの赤い肉やジビエの料理に用いられる。フュメ・ド・ポワソンで作ったソース・ヴァン・ルージュは特徴的な味わいの鮭やさばなどとも好相性のようです。

 

・ガストリックと果汁のソース

ガストリックとは、砂糖、水を煮詰め、酢を加えたもののこと。これに柑橘系の果汁と煮詰めたフォン・ド・ヴォを加えて、さらに煮詰めた甘酸っぱいソース。

豚肉、赤い肉の家禽類(鴨・鳩・うずらなど)、ジビエなどの料理のソースに。

特に果物と取り合わせる料理に合います。

 

⑤フュメ・ド・ポワソンを使うソース

・ソース・ヴァン・ブラン

エシャロット、マッシュルーム、白ワイン、フュメ・ド・ポワソンを煮詰め、生クリームを加えて仕上げる魚介料理用のソース。

魚介料理全般に広く用いられる。

白ワインをヴェルモットやシャンパンに代えて風味に変化をつけたりする。

魚肉ソーセージがお店の一品に変わる、私の大好きなソースです。

 

・ソース・アメリケーヌ

甲殻類の殻を香ばしく炒め、香味野菜やトマト、フュメ・ド・ポワソンで作る赤い魚介料理のソース。

元々は「オマールの煮込み アメリカ風」という料理のソースでしたが、後にソースだけが独立して作られるようになったようです。

魚介類全般に広く用いられています。

なぜアメリカ風なのかというと、このような逸話があります。

19世紀にパリでレストランを営んでいたピエール・フレスという料理人が考え出したと言われているようです。

ピエール・フレスは過去にアメリカのシカゴのレストランで働いていたことがあり、即興で作った料理名を聞かれた際に「オマールの煮込み アメリカ風」と名付けたのが始まりなのだとか。

 

⑥バターを使うソース

・ブール・ブラン

エシャロット、白ワイン、酢を煮詰めたものにバターを溶かし混ぜて作る、魚介料理によく使われるバターソース。

焼く、茹でる、蒸すといったシンプルな調理法に調和する魚介のソースとして広く用いられる。

 

・ブール・ノワゼット

バターをはしばみ色(ノワゼット)に色づくまで熱した、香ばしいバターソース。

舌平目をはじめ、魚のムニエルの定番のソース。

 

⑦野菜を使うソース

・ソース・トマト

トマトとベーコン、香味野菜を白いフォンや水で煮込んで作るソース。ベーコンでしっかりと旨みを効かせています。

イタリアのトマトソースはトマトと香味野菜で作り、シンプルで汎用性をもたせていますが、フランス料理はこのソースだけでしっかりと味を決めて使われています。

 

・トマトのフォンデュ

よく熟したトマトを刻んで煮詰めたもの。トマト本来の味が強く感じられ、ソースとしてそのまま用いるほか、トマトの風味を聞かせたい料理やソースに加えたりもする。

最近はソース・トマトよりもトマトのフォンデュを使用されることが多いようです。

 

・ピストゥ

生のバジルをニンニク、オリーブ油と一緒にすりつぶして作る、プロヴァンス地方の薬味。

スープに加えたり、パスタにあえるほか、魚、肉、野菜料理のソースとしても幅広く利用できる。

 

・タプナード

オリーブの実をベースにした、プロヴァンス地方の薬味。セロリやトマトなどの生野菜に添えたり、トーストに塗る。魚や肉、野菜のグリエ、魚のポワレに添えることも。

フランス料理はソースだけで完成度がかなり高いのが特徴だと思います。ソースをパンなどにつけて食べると、ワインがすすみますよね。

タプナードを軽くトーストしたフランスパンに塗って、ロゼワインとか最高ですよね。

 

まとめ

いかがでしたか?

今回はフランス料理の基本となるソースについてまとめてみました。

まとめますと、

・フォンはソースやポタージュのベースとなるだし汁

・ソースの種類はかなり多い。基本となる材料ごとに分類・整理してみましょう。

・基本のソースに追加材料を加えることで様々なソースへ変身します。まずは基本を押さえていきましょう。

 

なかなかご家庭でソースから作るケースは少ないかと思います。ですが、しっかりと作りこむとソースだけで感動できる味わいのものも少なくありません。

お時間のある時、大切な記念日など、腕によりをかけてソースから作ってみるのもいいかもしれませんね。

長文にも関わらず、ここまでご一読いただきましてありがとうございました。

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