南アフリカワインのサスティナビリティ

土手

【最終更新日】2024年2月25日

早速ですが、みなさんは南アフリカのワインといえば何が思い浮かびますか?

歴史やブドウ品種、生産地の特徴などを想像した人も多いと思います。

ですが、私は南アフリカワインについての記事を書こうと思った時、真っ先に思い浮かんだことは「サスティナビリティ(持続可能性)」でした。

 

サスティナビリティについては、ソムリエ・ワインエキスパート教本の南アフリカの章の冒頭、プロフィールでも取り上げられています。

その部分を読み返してみると何となくわかったような気にはなるのですが、ちゃんとは理解していないと感じています。

ですので、今回はこのサスティナビリティをわかりやすく出来ればと思います。

 

記事の内容も内容なので、少し自己紹介をしておきますね。

私は2023年にワインブックススクールWBSで学習し、ワインエキスパートを取得させていただきました。その後もワインの学習を継続しつつ、この記事を書かせていただいております。

それでは今回は南アフリカのサスティナビリティについてです。

どうぞ、よろしくお願いします。

 

南アフリカワインのサスティナビリティ

サスティナビリティとは?

グリーンの地球

そもそもサスティナビリティ(sustainability)とは何なのか?これ、わかりますか?

よくテレビやビジネスシーンなどでサスティナブルとはよく耳にするのですが、実際のところ、よくわかっていないと感じることもあるのではないでしょうか?

実際、私がその1人でした。

 

サスティナブルの語源は英語の「持続する:sustain」と「できる:able」をくっつけて作られた言葉になります。

定義として、国連では「地球の自然界にある資源を長期間維持し、環境破壊することなく、次世代に繋いでいく行動や配慮」とされています。

 

では、サスティナブルとサスティナビリティは何が違うのか?

え?一緒じゃないの?と思いますよね。ほぼ同じ意味の言葉なのですが、使い方の違いですね。サスティナビリティは名詞として用いられ、「~の持続可能性」というような使われ方をします。

 

ワインに関することで言えば、「ワイン生産におけるサスティナビリティ」といった感じでしょうか。

この概念において重要なのは、環境のみの配慮ではないということだと思っています。

環境に加え、社会や経済の観点からも、長期的にわたって地球環境を壊すことなく、資源も使いすぎず、良好な経済活動を維持し続けることを意味しています。

 

この3つがサスティナビリティの3本柱とも言われています。それぞれの例を以下に記載しています。

<環境>

森林伐採や海洋汚染、温室効果ガスの排出に関する配慮

<社会>

ジェンダーや教育の格差、難民問題などへの配慮

<経済>

貧困問題の解決や良好な労働環境の整備、セーフティネットなど社会保障の拡充

 

どうですか?サスティナビリティへの理解は少し前進しましたか?

ちなみに、SDGs(Sustainable  Develoment Goals)は「持続可能な開発目標」を意味しており、サスティナブル活動の一つに位置付けられます。

 

南アフリカのサスティナビリティ-自然環境への配慮-

ブドウ畑

ここからは南アフリカの実際の取り組みについて見ていこうと思います。

南アフリカワイン協会(WOSA=Wines of South Africa)は、世界で最も環境に配慮したワイン生産国「自然環境保護とワイン産業の共栄」をコンセプトに掲げています。

 

1998年には、農薬や酸化防止剤の使用率減少、リサイクルの徹底や水資源の維持を盛り込んだガイドライン「環境と調和したワイン生産(IPW)」を制定。現在95%を超える生産者がガイドラインに沿った生産を行なっています。

2004年にワイン生産地の9割が含まれるケープ植物区がユネスコ世界自然遺産に登録されると、国際的な環境保護団体と協力し、「生物多様性とワインのイニシアチブ」を提唱し、貴重な植物環境へ配慮したワイン造りを行うようになっています。

 

労働環境への配慮

南アフリカは現在も発展途上国に位置付けられます。以前は、発展途上国の産業では不利な取引条件を突きつけられ、公正な取引がされていないケースもしばしばあったようです。

このような状況では、学校に行けず労働に従事する子供や農薬により体を壊す生産者が後を経ちませんでした。

そこで生まれたのが「フェアトレード」とうい考えです。

 

「フェアトレード」とは、発展途上国で生産された原材料や製品を適正な価格で売買し、生産者の生活改善と自立を目指す貿易の仕組みのことです。

ワイン以外にも、コーヒー豆、カカオ、紅茶、コットンなどがその対象です。

 

南アフリカは世界最大のフェアトレードワイン生産国で、世界のフェアトレードワインの売り上げの80%以上を占めると言われています。

フェアトレード認定企業は50社にのぼり、約2500人の農場労働者を雇用しています。その家族も含めると、南アフリカのフェアトレードワインは、約12000人の生活・労働環境の改善に大きく寄与しています。

このように自然環境のみならず、労働環境や子供達の教育・経済的自立を支援する取り組みに積極的な生産者が南アフリカには多く、彼らの生産するワインを購買、消費することによって、支援を援助することに繋がります。

 

サスティナビリティシールの誕生

以上のような取り組みがされている中、2010年ヴィンテージからは、世界で初めてサスティナビリティを保証するシールが採用されました。

この認可を受けるには、以下の4つの条件を満たす必要があります。

①化学農薬の使用を極力控え、農場では害虫の天敵を採り入れる。

②世界有数の豊かな植物区の生物多様性を保護する。

③廃水の浄化

④農場で働く人々の健康と安全衛生を確保する

これら4項目を満たすだけではなく、3年ごとにある独立機関の監査もパスする必要があり、非常に厳しい基準となっています。

しかしながら、このような厳しい基準の中、原産地呼称認証ワインの94.3%が要件を満たしており、生産者たちのサスティナビリティへの関心の高さがわかりますね。

 

まとめ

いかがでしたか?

南アフリカのサスティナビリティについて説明をしてきました。

南アフリカはまだまだ発展性のある地域かつ、サスティナビリティを意識した生産に注力されている生産地になります。これからも期待が膨らむ生産地であることが伝わったでしょうか?

南アフリカのワインはフェアトレードとして公正な価格で取引されているとしても、他の国のワインに比べて割安に感じるものも少なくありません。

ぜひ一度、南アフリカのワインをお飲みいただき、コストパフォーマンスの高さを感じるとともに、生産者の方々への支援も行ってみてはいかがでしょうか?

ここまでご一読いただきありがとうございました。

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