サンジョヴェーゼとは?基礎知識と味わいの特徴、合わせる料理

【最終更新日】2022年10月25日

サンジョヴェーゼ(伊:Sangiovese)は、イタリアで一番多く栽培されている赤ワイン用の品種です。

エミリアロマーニャ州からラツィオ州に至るイタリア中部の大部分、特にトスカーナ州では最も広く栽培されていて、キャンティ地区、キャンティ・クラシコ地区では主要品種として有名です。

 

サンジョヴェーゼから造られるワインは、濃いめのルビー色、またはルビーよりのガーネット色で、スミレやチェリーの香りがあり、渋みと酸味がしっかりとしています。

また、多数のクローンが存在しておりシノニムも多く、ブルネッロやプルニョーロ・ジェンティーレとも呼ばれています。

 

サンジョヴェーゼの基礎知識

歴史・起源

古代ローマ時代からエトルリア人によって、トスカーナでヴィティス・ヴィニフェラの野生樹から初めて栽培されたとされています。

ブドウの名前はもともとラテン語の古語のsanguis Jovis(直訳:ジュピターの血液)とされています。

ジュピターはローマ神話の気象を司る神ですので、このぶどうは古くから期待をされて栽培されていた事がわかります。

 

1716年、トスカーナ大公コジモ3世がカルミニャーノ、キャンティ、ポミーノ、ヴァル・ダルノ・ディ・ソプラのワイン産地の境界を定めましたが、これが世界最初の原産地保護の例となっています。

また、19世紀にベッティーノ・リカーゾリ男爵が今日のキャンティワインのベースとなるフォルムラ(ブレンドの品種構成)を定めました。

1970年代、トスカーナのワインメーカーはカベルネ・ソーヴィニヨンなどの国際品種とブレンドして、スーパー・タスカン(スーパートスカーナ)という総称で販売するワインを造り、近代的なスタイルのワインを造り上げ国際的に知名度を上げました。

 

サンジョヴェーゼの交配

サンジョヴェーゼは2004年のDNA鑑定により、チリエジョーロ( Ciliegiolo )とカラブレーゼ・モンテヌオーヴォ( Calabrese Montenuovo)の交配によって生まれたことが明らかになりました。

また、そのクローンを「サンジョヴェーゼ・グロッソ」と「サンジョヴェーゼ・ピッコロ」に大別しました。

2008年に発表された別の研究では、サンジョヴェーゼとイタリアの他の10品種の間に密接な遺伝的関係があることが示され、イタリアの黒ぶどう品種の血統における主要品種であることが確認されました。

 

ブドウ栽培

サンジョヴェーゼは、様々な種類の畑の土壌に適応できますが、主に粘土石灰質土壌で成長し、力強いアロマを持つエレガントなワインを生み出すと言われています。

キャンティ・クラシコ地区では、ガレストロと呼ばれる土壌で育ちます。

 

このブドウは早く芽吹き、熟すのが遅いため、長い栽培期間が必要です。

発芽が早いため春の晩霜の被害にあいやすく、そのため冷涼な気候には不向きとされています。

生育期間が長くなることでブドウに豊かなボディを生み出しますが、収穫時期の10月に雨が降りやすい地域では、腐敗のリスクが伴います。

そのため収穫時期の天候は安定して、できる限り乾燥している環境が向いているとされています。

 

ワイン醸造

サンジョヴェーゼの栽培面積はとても広いのでそれぞれの地域の土壌や気候の影響を受け、また、生産者や醸造方法も違うため、様々なスタイルのワインが造られています。

歴史的な手法のひとつにサンジョヴェーゼに他の品種をブレンドして、その魅力を引き立てたり弱点を補ったりすることがあります。

 

ただしイタリアの多くのDOC/DOCG地域ではサンジョヴェーゼとブレンドできる他の品種の量に上限があることが多く、例えばキャンティではカベルネソーヴィニョンに対する制限が定められています。

サンジョヴェーゼはイタリアを代表するブドウ品種なので、フランス系の国際品種とブレンドすることは制度的に抵抗が強くなり、これが規定に盛り込まれたのです。

 

主な産地

サンジョヴェーゼは世界中に植えられていますが、原産地はイタリア中部です。

そこからイタリア人移民によって北米と南米に持ち込まれました。

世界では、アルゼンチン、ルーマニア、フランスのコルシカ地方、カリフォルニア、オーストラリアなどがあります。

 

イタリア/トスカーナ州


キャンティ地方のさまざまなサブゾーンの間でも、スタイルやテロワールに基づく違いが現れています。

キャンティ以外でもトスカーナ州全土で栽培されていて、ブルネッロディモンタルチーノ、カルミニャーノ、ヴィノノビーレディモンテプルチアーノなどが知られています。

理想的なブドウ畑の環境は標高150~550mの南向きと南西向きの斜面にあることですが、一般的にキャンティ地方ではマレンマやモンタルチーノにくらべて夜間の気温が低く、収穫時期に雨が降りやすいため、他の地方よりも完熟するのが難しいとされています。

 

トスカーナ州外

サンジョヴェーゼは中央イタリアの 主力品種 とされ、赤のスティルワインからロゼ、甘口のパッシート、半発泡のフリッツァンテ、デザートワインのヴィン・サントまで、様々なスタイルの日常飲みから高級ワインまであらゆるワインを生産しています。

南部では主にプリミティーヴォ、モンテプルチャーノ、ネロダーヴォラなどの品種とブレンドされています。

 

その他のワイン産地

フランスではコルシカ島で長い歴史を持ち、ニエルッキオという名で知られています。

14世紀から18世紀にかけて、この島に持ち込まれたと考えられています。

 

その他、ギリシャ、アメリカ、カナダ、オーストラリア、アルゼンチンなど世界中で栽培されています。

 

マリアージュ

サンジョヴェーゼの高い酸味と適度なアルコールはとても料理と親しみやすくフードフレンドリーなブドウ品種とされています。

イタリア全土で栽培されているため、当然様々なイタリア料理ととても相性が良くなります。

 

トスカーナではビステッカフィオレンティーナとよばれるTボーンステーキは定番のマリアージュとされています。

また、サンジョヴェーゼはやわらかいトマトの風味もあるとされていて、トマトベースのパスタやピッツァとも香りが同調します。

渋みも適度にあり、かつ果実味と酸味のバランスがいいため、日本の食卓にも合わせやすいのもサンジョヴェーゼの特徴です。

特に豚肉料理との相性がよく、とんかつや豚肉の生姜焼きとはとても良いマリアージュになります。

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