キャンティ ワインとは?基礎知識とブドウ品種、味わいの特徴と合わせる料理

【最終更新日】2022年11月17日

キャンティ(Chianti)はイタリア共和国、トスカーナ州中央部のキャンティ地方で生産されるワインです。

歴史的にはフィアスコと呼ばれる藁で包まれたボトルを使用していましたが、現在ではごく少数の作り手だけで、一般的な瓶を使用しています。

19世紀半ばに後にイタリア王国の首相となるベッティーノ・リカソーリがサンジョヴェーゼをブレンドの主要品種とし、今日のキャンティワインの礎を築きました。

 

キャンティの人気はすさまじく、名前のキャッチーさも相まって世界中で大人気となりますが、それが後年仇になり、品質よりも量のイメージが定着をした苦難を経験しています。

これを受けてキャンティの伝統的な生産者から不満がおこり、この声を反映して1996年にはキャンティクラシコのDOCGが個別に認められるようになります。

現在はキャンティワインであっても粗悪なものは減り、特に輸入されるキャンティワインは品質も高く、かつお値打ちなものが多いです。

 

【キャンティとキャンティクラシコの違いについてはこちらをご覧ください】

 

キャンティ ワインの基礎知識

起源


ブドウ栽培がフィレンツェ周辺のキャンティ山脈で盛んであった14世紀にキャンティワインの記述が見つかります。

レガ・デル・キャンティ(Lega del Chianti )と呼ばれる軍事同盟がカステッリーナ、ガイオーレ、ラッダの町で1250年頃結成され、この地域のワインがキャンティと呼ばれるようになります。

1398年、キャンティを白ワインとする文献がありましたが、その頃赤ワインは記述がある程度でした。

 

キャンティと呼ばれるワイン産地は1716年に始まります。コジモ3世がキャンティと呼ばれる地域を拡大し、1932年7月までそのままの領域が使われることになります。

1967年に再拡張され、トスカーナ中央部の広大な地域でキャンティが造られるようになりました。

 

18世紀までにキャンティは赤ワインとして広く認知されていましたが、その頃のブドウ品種やブレンド比率は分かっていません。

カナイオロ、サンジョヴェーゼ、マンモロ、マルゼミノという品種が当時栽培されていた事が分かっている程度です。

 

19世紀後半にフィロキセラという害虫がヨーロッパで広がり、ブドウ畑を荒廃させましたが、キャンティももちろんその被害を受けました。

この時代は折あしくワイン業界は大変な苦境に立たされます。フィロキセラ後も二度の世界大戦と経済不振によってワインが売れない時代に突入するのです。

 

生産者達は高収量品種に植え替え、当時は第二次世界大戦後という事もあり、世界的にワイン市場は安価で飲みやすいワインを求めており、好評を得ることになります。

しかし時代の流れは安かろう悪かろうワインではなく、品質に目が食指が動き、次第に品質よりも量に重きを置いたキャンティの名声は地に落ちます。

 

そんな中、一部の生産者は高品質ワインを作るため、DOCと呼ばれる原産地呼称規制を無視したワイン作りを始めます。

これは後にスーパートスカーナとして知られるようになります。

元々DOC規制を時代遅れと考えていた生産者が、カベルネ・ソーヴィニョンメルローといったフランスのブドウ品種をブレンドしたり、新しいオーク樽の使用、新技術を取り入れるなど、キャンティでより創造的で革新的なワイン作りをしました。

現在スーパートスカーナの価格、評価は高く、イタリア政府にDOC規制を再考させるきっかけになるまでになりました。

 

 

 

キャンティのサブリージョン

キャンティ地域はトスカーナの広大なエリアを占めており、その中に他のDOC、それより厳格な規制であるDOCGエリアも含まれています。

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノやヴィノ・ノビレ・ディ・モンテプルチャーノ等、サンジョヴェーゼベースの有名なワインも生産者が望めばキャンティと名乗る事が出来ます。

 

キャンティではDOC以上に分類されるワインが年間800万ケース以上生産されており、7つのサブゾーンからなるキャンティDOCGとキャンティクラシコDOCGからなり、イタリアのDOC、DOCGワインの大部分を占めています。

キャンティには7つのサブゾーンがあり、キャンティという名称の他にラベルに表記が許されています。

以下がサブゾーンです。

・コッリ・アレティーニ

・コッリ・セネージ

・コッリーネ・ピサーネ

・モンタルバーノ

・ルフィーナ

・コッリ・フィオレンティーニ

・モンテスペルトリ(1996年にコッリ フィオレンティーニの一部から改名)

 

単にキャンティと表記されたワインはこれらのブレンドか、サブゾーン外のブドウが含まれています。

コジモ3世が定めたエリアがほぼ現在のキャンティ・クラシコにあたります。

かつてはキャンティの一部でしたが、1996年に独立したDOCG認定を受けました。

 

キャンティの規定

1996年にキャンティとキャンティ・クラシコは75〜100%サンジョヴェーゼ、10%までカナイオロ、カベルネ・ソーヴィニヨンメルロー、シラーなどの承認された赤ブドウが20%までと規定されました。

キャンティにはスーペリオーレ、レゼルヴァ、キャンティクラシコにはレゼルヴァ、グラン・セレツィオーネとより厳しい基準で生産されたワインには名称をつける事が出来ます。

 

キャンティで使用されるブドウ品種は多様で、生産者によりスタイルにばらつきがあります。

一般的にはチェリー、プラム、ラズベリーの香りと程よい酸味と渋味があります。

 

キャンティクラシコは若いうちは花やシナモンのスパイシーな香りがあり、熟成するにつれ、タバコや革の香りがしてきます。

多くのキャンティは3〜5年間の熟成が飲み頃で、高品質のものは4〜8年間です。

キャンティクラシコは6年位からで、中には20年間の熟成に耐えうるワインもあります。

 

 

マリアージュ

若いうちは特に酸味が印象的で、渋みと酸味が口の中で広がります。

そのためお野菜の風味強い料理との相性が良いとされていて、ピザやパスタ、ラザニアなどのトマトソースを使った料理に良く合います。

また、シンプルに肉をグリルやローストした料理や、ハンバーグにも相性が良いです。

トスカーナ州は名物料理のビステッカアッラフィオレンティーナというTボーンステーキがあり、キャンティとの相性は長年たのしまれています。

 

マリアージュについてはこちらをご覧ください】

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