サッシカイアの基礎知識|ワインの特徴と歴史、合わせる料理

【最終更新日】2023年2月28日

サッシカイア(Sassicaia)は、イタリアトスカーナ州の西南部にあるボルゲリ村(Bolgheri)でつくられる赤ワインであり、イタリアワインの至宝と評される高級ワインの1つです。

サッシカイアは、これまでのイタリアの伝統やワイン法の規定にとらわれないワインとしてつくられていましたが、その品質の高さからスーパータスカン(トスカーナを超える)と称されるようになり、ボルゲリを世界的なワイン産地に押し上げました。

 

リリース当初のサッシカイアはワイン法の規定に則った製法ではなかったため、イタリアワインの定義上、最下位に格付けされていた経緯があります。

しかし、1994年には初の単独ワイナリーとして原産地呼称(DOC)に昇格を果たし、結果としてワインのクオリティの高さがイタリアのワイン法を変えることになるのです。

ワイン評論家のロバート・パーカー氏は、1985年と2016年ヴィンテージに100点満点をつけており、ワインスペクテーター誌では2018年トップ100ワインの1位にも選出されています。

2023年の時点で価格はおおむね5万円程度で流通していますが、ご覧のように右肩上がりで価格は上昇し続けています。

品質の高さはもちろん、人気の面でもイタリアワインの中では突出した存在となっています。

 

 

サッシカイアの基礎知識

ブドウ品種とワインの特徴

サッシカイアは、スーパータスカンの元祖のひとつといわれており、カベルネ・ソーヴィニヨン80%前後、カベルネ・フラン20%前後と、2つの黒ブドウ品種からつくられています。

これらの比率はヴィンテージによって若干の差はありますが、大きく変わったことはありません。

現在では、原産地呼称(DOC)ボルゲリ・サッシカイアとして規定されるワインであり、テヌータ・サン・グイドという単独のワイナリーによってつくられています。

 

 

スーパータスカンとは、イタリアのトスカーナ州において従来のワイン法や土着品種、伝統などにとらわれずに品質を重視してつくられたワインの総称です。

1990年代に注目をされ、品質は高いにも関わらずワイン法の定義では最も下の格付けであるヴィノダターヴォラのワインも多かったため、”トスカーナを超えるワイン”という意味合いで呼ばれるようになりました。

現在でもイタリアのワイン法のなかでは格付け外となるワインも多数含みますが、スーパータスカンは骨格のしっかりとした味わいになるワインが多く、世界でも人気を博しています。

 

サッシカイアに使われるブドウはすべて、完熟する直前に手摘みで収穫されます。

ステンレスタンクで約2週間発酵させた後、フレンチオークの小樽(新樽の比率は約20%)で約24ヶ月の熟成期間を経てからリリースを迎えます。

 

サッシカイアの味わい

https://www.tenutasanguido.com/en/wines

カシスなどの黒系ベリーの果実とスミレの花びらの香りに加えて、オリーブや杉、タバコ、スパイスの風味も重なり、余韻は非常に長く感じられます。

しなやかな質感のあるタンニンと凝縮感のある果実味、上質な酸味が全体をスマートに引き締めています。

エレガントかつパワフルさもあり、数十年の熟成も可能なスタイルで、ボルドーのトップ格付けシャトーにも引けを取らない味わいです。

 

産地


サッシカイアがつくられるボルゲリ村は、トスカーナ州の州都であるフィレンツェの西南、海沿いのマレンマ地方にあります。

ティレニア海沿いのこの地域では、サッシカイアが登場する以前はロゼワインの産地でした。

地中海性の温暖な気候で、夏から秋にかけては乾燥した空気と十分な日照量が得られ、海からの冷涼な風の影響で日較差も広がりやすい土地となっており、ブドウ栽培に恵まれた環境が特徴です。

 

晩熟型とされるカベルネ・ソーヴィニヨンであっても、このボルゲリでは凝縮感と酸味を備え、しっかりと成熟した状態で収穫することができるのです。

また、サッシカイアという名前には「砂利の多い土地」という意味がありますが、これはボルゲリがフランスのボルドー地方、グラーヴの土壌に似た特徴を持っていることから名付けられたとされています。

 

サッシカイアの歴史・起源

サッシカイアは、1940年代にアンティノリ家の従兄弟であるマリオ・インチーザ・デッラ・ロケッタ侯爵によって、実験的なワインとして誕生したことがはじまりです。

ロケッタ侯爵はかねてから無類のワイン好きであり、特にフランスのボルドー地方のワインを好んでいました。

 

ところが1940年、第二次世界大戦の戦禍がフランスまでおよぶと、ボルドーのワインは入手困難となってしまいます。

しかし侯爵は、自らが所有する土地の土壌特徴がボルドー地方のグラーヴ地区とよく似ていることに気がつき、「手に入らないのであれば、ボルドーのワインと同じものをここでつくり出せば良い」と考えはじめます。

そこで、当時から交流があったシャトー・ラフィット・ロートシルトに相談をした結果、カベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フランの苗木を輸入することに成功し、所有していた広大な土地にその苗木を植えることにしたのです。

 

1944年、サッシカイアの前身となる最初のワインが完成しますが、当時はまだ若く渋みも強く、市場には出されずに自家用としてつくられていました。

ところが、ワインづくりを繰り返すうちに次第に家族や友人の間で評判が高まっていき、1968年にはついに商品としての販売が開始されました。

 

イタリアのワイン法(DOC法)は1963年に制定されましたが、元来イタリアでは土着のブドウ品種を使ったワインが好まれており、当時のサッシカイアは格付けの上では最下位のテーブルワインのクラスに該当していました。

しかし、サッシカイアは法律やこれまでの伝統にしばられることなく、量よりも質を重視したワインとしてつくられ続けました。

 

そして1978年、世界的なワイン評価誌「デキャンタ」が主催するテイスティング会において、第一位を獲得することに成功します。

これを機にサッシカイアの知名度は大きく押し上げられることになり、また、格付けにとらわれない品質重視のトスカーナ州のワイン「スーパータスカン」も、世界的なブームとして広がっていきました。

 

1994年、サッシカイアはその突出した品質の高さから、ついにDOCボルゲリ・サッシカイアとして、単独ワイナリー初のDOCへの昇格を果たします。

この異例の出来事が、まさにイタリアワインの至宝と評される所以のひとつでしょう。

現在、ワイナリーであるテヌータ・サン・グイドは、インチーザ侯爵の息子であるニコロ・インチーザ・デッラ・ロケッタ氏によって運営されており、ボルドーのクラシックなスタイルに敬意を表した高品質のワインをつくり続けています。

 

 

合わせる料理、ペアリング

サッシカイアは、しなやかなタンニンと凝縮感のある果実味、そして上品な酸味を備え、フルボディかつエレガントなスタイルのワインです。

カベルネ・ソーヴィニヨンが主体であることも踏まえると、合わせる料理としてはしっかりとした赤身の肉料理やジビエ料理などが相性も良いでしょう。

 

トスカーナ州のフィレンツェでは、ビステッカとよばれる牛のTボーンステーキが名物料理としてよく知られています。

豪快に骨付きの肉をBBQ風に焼き上げ、シンプルにオリーブオイルと塩、あるいはバルサミコ酢をかけていただきます。

 

豊富なタンニンと酸味が、ジューシーでボリュームのある肉の風味を引き立てつつ、口中を軽やかに整えてくれることでしょう。
同様に、ラム肉のグリルなどもおすすめです。

食材や調理方法によってお好みもそれぞれあるかと思いますが、ぜひ参考にしてワインとのペアリングを楽しんでみてください。

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