シャサーニュ・モンラッシェとは?基礎知識と味わいの特徴、合わせる料理

【最終更新日】2022年10月17日

シャサーニュ・モンラッシェ(仏:Chassagne Montrachet)はフランス・ブルゴーニュ地方、コート・ドールの南側、コート・ド・ボーヌ地区に位置するワイン生産地です。

同地区は白ワインの銘醸地として有名です。その中でも、「ピュリニー・モンラッシェ」「シャサーニュ・モンラッシェ」「ムルソー」はブルゴーニュ白ワインの三大銘醸地とされています。

 

シャサーニュ・モンラッシェでは

シャルドネ(仏:Chardonnay)という白ブドウ品種から白ワインが

ピノ・ノワール(仏:Pinot noir)という黒ブドウ品種から赤ワインがそれぞれ造られています。

 

白ワインが圧倒的に有名な産地ですが赤ワインもある程度の量を生産しており、その品質の高さが知られています。

 

この村には3つの特級畑(グラン・クリュ)があります。

世界一の白ワインを生み出す特級畑「モンラッシェ」、そしてもう一つ「バタール・モンラッシェ」、この2つの畑は同村と隣村「ピュリニー・モンラッシェ」の2つの村にまたがり存在しています。

 

同村の白ワイン、特に偉大なものは芳醇な香りと豊かな味わい、長く続く余韻が特徴とされています。

また、ピュリニーと比べシャサーニュの方がより厚みがあって豊満、より「グラマラス」であるとも云われています。

 

ピュリニーモンラッシェはこちらをご参考ください】

 

シャサーニュモンラッシェの基礎知識

産地の特徴

シャサーニュ・モンラッシェはブルゴーニュ地方コート・ドールの南側、コート・ド・ボーヌ地区の村名であり、ワイン生産地の名称です。

北をピュリニー・モンラッシェ、南をサントネ、西をサン・トーバン村に囲まれた場所に位置しています。

ピュリニー・モンラッシェ村、ムルソー村と共にブルゴーニュ白ワイン三大銘醸地として、またコート・ドール最南の白ワイン銘醸地として知られます。

 

「モンラッシェ」を始めとする白ワインの特級畑を3つと50以上の1級畑(プルミエ・クリュ)を持ちます。

特級畑はいずれも村の最北部に位置しています。

 

畑の斜面はなだらかで南東向きのものが多く、日当たりは良好です。

斜面上部にシャルドネ、下部にピノ・ノワールが栽培されています。

土壌は、母岩は石灰岩で、表土は石灰質、粘土質、酸化鉄を豊富に含んだ体積土で覆われています。

 

起源

この地区の畑から造られるブドウが質の高いことは8世紀から知られていました。

同村、そしてお隣のピュリニー・モンラッシェが白ワイン銘醸地としての地位を確立したのは意外と最近で、19世紀になってからのことなのです。

 

もともと赤ワインの生産で知られていたにもかかわらず、いつしか白ワインの方がとびぬけた評価を得るようになるのです。

それが「モンラッシェ」の畑のワインです。

 

シャサーニュ・モンラッシェ村は以前は「シャサーニュ・ル・オー」という名前でした。

ところが村自体よりもワイン畑の方が有名であったため、1879年に現在の名前に変えた、という歴史があります。

なお、「シャサーニュ」はラテン語で「家」を意味するカーサ(拉:casa)に由来するとされています。

 

 

シャサーニュの”赤”?

シャサーニュ・モンラッシェは赤ワインの生産も盛んです。

栽培面積は白65%、赤35%となっていますが、上質なワインほど赤ワインの比率が上がり、

1級クラスで白55.0hL、赤48.0hL、

村名クラスで白57.0hL、赤50.0hL

とさほど変わらない量を生産していることに驚かされます。

 

白ワインの産地としてこれほど有名にも関わらず、実際にはなぜここまで赤ワインが多いのでしょうか?

これにはワイン界最悪の病害虫フィロキセラが関係しているとされています。

 

もともとシャサーニュ・モンラッシェは19世紀までピノ・ノワールとガメイ(仏:Gamey)を中心に栽培する赤ワインの村だったのです。

そこにフィロキセラが流行してしまい、この被害によって既存のブドウ樹は植え替えを余儀なくされます。

その際に植えられたのがシャルドネで、以降次第にシャルドネの栽培比率が高まっていき、現在は白ワインの産地として名を馳せることになったのです。

 

【ピノノワールについてはこちらをご参考ください】

 

特級畑

シャサーニュ・モンラッシェには3つの特級畑があります。

モンラッシェ(仏:Montrachet)

造り出されるワインは気品と力強さに満ち溢れ、その香りと味わいから「威風堂々」「豪華絢爛」といった言葉が頭を過ります。

シャサーニュ・モンラッシェ村とピュリニー・モンラッシェ村の両村にまたがる特級畑にして、両村で筆頭に君臨する偉大な畑です。

世界一高価な白ワインを生み出す畑としても知られています。

栽培面積は約8ha、標高225~245m、斜面は南向き。土壌は石灰質で表土は鉄分を含み小石が多く、やせています。

 

モンラッシェは、モン(仏:Mont)は山、ラッシェ(仏:Rachet)は禿げ頭なので、直訳すると「禿げ山」になります。

土壌の影響で樹木が育ちにくく、森林がないことから名付けられたとされています。

 

バタール・モンラッシェ(仏: Batard-Montrachet)

こちらもシャサーニュ・モンラッシェ村とピュリニー・モンラッシェ村の両村にまたがる特級畑です。

土壌は粘土質と泥質を多く含んだ褐色石灰質に、小石を多く含んでいます。

味わいは立体的で奥行きがあり、3つの特級畑の中でも力強さを感じさせると云われています。

またバタールは「私生児」「婚外子」という意味です。

 

クリオ・バタール・モンラッシェ(仏:Criots-Batard-Montrachet)

3つの特級畑のうち、唯一シャサーニュ・モンラッシェ村のみに所属する畑です。

1.86haは3つのうち最も狭く、畑の所有者はわずか7人、そのうちドメーヌ元瓶詰めは5人のみです。

土壌は石灰質で、非常に多くの小石を含んでいます。

またクリオは「泣き声」という意味です。

 

【グランクリュについてはこちらをご覧ください】

 

グラン・クリュこぼれ話

「モンラッシェ」の名を冠する特級畑は、①モンラッシェの他は

②シュヴァリエ(騎士)・モンラッシェ

③バタール(私生児、婚外子)・モンラッシェ

④クリオ(泣き声)・バタール・モンラッシェ

⑤ビアンヴニュ(ようこそ=歓迎)・バタール・モンラッシェ

があります。

 

そしてピュリニー・モンラッシェ村には「バタール・モンラッシェ」と道路を挟んで反対側には「レ・ピュセル(処女・少女)」という1級畑があります。

以下は現地で語り継がれているモンラッシェにまつわる昔話です。

 

昔ある村に「モンラッシェ」と呼ばれる領主がいました。

モンラッシェには騎士(シュヴァリエ)の一人息子がいましたが、十字軍遠征に出たきり帰ってくることはありませんでした。

そんなある日、モンラッシェはある少女(ピュセル)と出会い恋に落ちます。

 

しばらくすると男の子が生まれましたが、婚外子 (バタール)という理由でいじめにあい、泣いて(クリオ)ばかりいました。

息子が帰らぬ人となったモンラッシェは男の子を跡取りとして迎え入れることに決め、男の子は村の人々から歓迎(ビアンヴニュ)をされたのでした。

(諸説がありますことをご承知おきください)

 

1級畑

1級畑は以下の通りです。

中でも「モルジョ」「レ・シュヌヴォット」「カイユレ」「クロ・サンジャン」「レ・ヴェルジェ」「ラ・ブドリオット」「グランド・リュショットサントノ」「レ・ショーメ」「ラ・ロマネ」が特に品質が高いことで有名です。

Les Baudines

Les Embrazées

Clos Pitois

La Grande Borne

Clos Chareau

Bois de Chassagne

Tête du Clos

Francemont

Les Brussonnes

Les Boirettes

La Romanée

Les Grand Clos

Morgeot (赤も生産)

Abbaye de Morgeot

Les Petit Clos

Vigne Blanche

La Roquemaure

Ez Crottes

Guerchère

Grandes Ruchottes

Les Petites Fairendes

Les Fairendes

La Boudriotte (赤も生産)

Les Chaumes

Champs Jendreau

En Virondot

En Cailleret

Vigne Derrière

Les Champs Gain

Les Combards

Chassagne

Chassagne du Clos St-Jean

Les Murées

Ez Crets

La Maltroie

Clos Saint-Jean (赤も生産)

Les Rebichets

Les Places

Les Charmées

Petingerets

Les Vergers

Les Pasquelles

Les Chenevottes

Les Macherelles

Les Bondues

Les Commes

Blanchot Dessus

En Remilly

 

ワインの特徴

AOC規定では特級格こそ白ワインしか認められていないものの、1級格、村名格では赤ワインの醸造も認められています。

シャルドネという白ブドウ品種から作られる白ワインとピノ・ノワールという黒ブドウ品種から作られる赤ワインが造られています。

最低アルコール度数は

1級格が白11.5%赤11.0%

村名格が白11.0%赤10.5%

となっています。

1級格と村名格の生産量はほぼ同量(1級格がわずかに少ない)となっています。

 

【シャルドネについてはこちらをご参考ください】

 

白ワインは畑による違いはありますが、特に上級なものはボディが厚く、蜜を思わせる甘やかな香りがあります。

またピュリニー側と比べ酒質がふくよかで「グラマラス」であるとも評されます。

 

力強さにマスクされがちですが、酸味やミネラルもしっかりと兼ね備えています。

豊満な香り、気品ある余韻が長く続きます。

一方赤ワインは軽やかでフレッシュ&フルーティーな一般村名格のものから、骨格のがっしりとして飲みごたえの上級のものまで様々です。

品質が高く、リーズナブルなものが多いことでも有名です。

 

外観・香り・味わい

シャサーニュ・モンラッシェの白ワイン、中でも上級なものの傾向を見ていきましょう。

 

外観は色調は深みを感じさせるイエローゴールド、澄んだ液面はきらきらと輝いています。

厚みのあるディスクと豊かな涙は、このワインのポテンシャルの高さを感じさせます。

香りは厚みがあってゴージャスです。

熟した洋梨、アプリコット、花の蜜、キンモクセイ、ヘーゼルナッツ、バターが豊かに香り、かすかに貝殻や火打石のようなニュアンスも見え隠れします。

 

味わいは第一印象(アタック)から豊かさが全面に押し出されますが、隠された酸味とミネラルの存在により決してくどい印象を与えません。

豊かな甘味、丸みのある酸味、深みを与える苦味が見事なバランス感で調和し、後には気品と優雅さに満ちた余韻が長く続きます。

 

多くはそのポテンシャルを発揮するのに10年か、それ以上の長期熟成期間を必要とします。

飲み頃に達したそのワインは、飲み手を大いなる幸福感で満たしてくれることでしょう。

 

著名な生産者

ドメーヌ・ラモネ/Domaine Ramonet

世界最高の白ワインを造るドメーヌの一つ。ピュリニーとサン・トーバンにも畑があります。

感動的ともいえる特級ワイン、フィネス溢れる1級ワインを造るシャサーニュの名門です。

 

ドメーヌ・ルフレーヴ/Domaine Leflave

ワイン評価誌「デキャンタ」による「白ワインの10大生産者」で1位に選出された200年の歴史を持つ名門ドメーヌ。

全ての畑でビオディナミを行っており、テロワールを重視します。

非常に華やかさと複雑さを称えたワインを造り出します。

 

ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ/Domaine de la Romanee-Conti

ワインファンであれば誰もが1度は憧れるドメーヌ。

赤ワインの「ロマネ・コンティ」が有名ですが、DRCの白は「モンラッシェ」が特に有名です。

100万円を超える価格にも関わらず世界中で引く手数多のワインです。

 

ドメーヌ・ギィ・アミオ/Domaine Guy Amiot

ノン・フィルターで造る「モンラッシェ」は複雑で強烈な個性を持ちます。

白も赤も、全体的に重量感のあるワインを造ります。

 

ドメーヌ・ミシェル・ニロン/Domaine Michel Niellon

シャサーニュの巨匠と称されるニロン氏の造るワインからは凝縮した果実味、力強いミネラルが感じられます。

買い付けブドウから醸造するいわゆるネゴシアン業も行っています。

 

マリアージュ

特に上質なシャサーニュ・モンラッシェの白ワインは、力強く香る完熟フルーツや蜜の芳香、厚みのあるグラマラスなボディを特徴とするワインです。

それ自体単体で飲んだとしても、これ以上いうことのない多幸感で満たしてくれるようなワインです。

それの上でワインと料理が互いを高め合うようなペアリングを検討すると、やはり料理も気合の入ったものと合わせたいところです。

 

フレンチ・レストランの例で見てみましょう。

フォアグラのソテーやテリーヌなどは食材の豊かな脂肪味をワインの香りがヴェールとなって包み込み、より贅沢な香りと味わいが楽しめます。

オマールエビのグラタンやテルミドール、またはポワレして味付けはソースアメリケーヌといったものも、食材とワインの味わいと香りが複雑に絡み合い、それぞれのポテンシャルを高め合います。

 

チーズも力強い香りを持ち、ミルキーなものであればきっと極上のハーモニーを奏でることでしょう。

いずれにせよ、食材や調理技術にも高いポテンシャルが求められます。

ワインと料理の格を合わせることは、マリアージュのセオリーの一つになっています。

 

マリアージュについてはこちらをご覧ください】

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